近現代
開国をした日本は、色々なことを西洋から取り入れて、急いでほかの国に追いつこうとしました。地図の作り方もその一つです。しかし、人の生活もそうですが、急に全ては変えられません。明治の最初に作られた地図は、伊能忠敬たちが江戸の終わりに作った地図を基にしていました。それから、色鮮やかなフランス式、三角測量、黒一色のドイツ式を取り入れ、現在使われているような地図の基本・地形図ができました。
元々は軍によって作られていた地形図でしたが、現在では、誰でも自由に手に入れられるようになっています。地形図を基に、観光や防災といった様々な目的の地図、紙ではないデジタルの地図まで生まれました。地図の作り方も、人が地面を歩いて測量していた方法から、飛行機で空から、人工衛星で宇宙から写真を撮影して作ることもできるようになりました。きっと、二〇〇年前の伊能忠敬が見れば、驚くことでしょう。これから二〇〇年後の地図は、そこに描かれる徳島は、どんな姿をしているでしょうか。
地形図-地図の基本-
地図には様々な種類がありますが、すべての地図の基本となる最も重要な図が地形図です。
地形図は、地形や地表のようすを表すことを目的に、土地の起伏を等高線で、土地の利用状況を地図記号などを用いて示しています。
元々は、軍が西南戦争において土地情報を把握する必要性を感じ作り始めた地形図でしたが、その頃の地形図には1821年に伊能忠敬らによって作られた『大日本沿海輿地全図』が利用されていました。
その後、より詳細な地形図を作るために、フランスやドイツに学び、三角測量など現代的な技術を取り入れた地形図を作成するようになります。当時は徒歩で測量していましたが、現在では飛行機から撮影した空中写真を基に、その後現地で点検の測量をされたのちに原図 におこされています。
さまざまな地図
地形図のほかにも、身近に存在する地図には様々な種類があります。海図、観光案内図、鉄道路線図、天気図など、ある特定の目的のために情報を絞りまとめられた地図を『主題図』といいます。
~身近な主題図の例~
●海図
●登山
地図
●観光案内図
●鉄道路線図
●天気図
●住宅地図
船が航海するための安全な航路を示した海の地図。水深、海底のようす、沿岸の地形、灯台の位置や光りかたなどが記されている。
山の高さや登山道、山小屋やトイレの位置など、山に登る際に必要になる情報が記されている。山で持ち歩くための地図なので、水に強い紙で作られているものもある。
観光地の見所や、観光の際に立ち寄る施設、交通機関などをまとめた地図。観光地の写真やイラストなどが載っていることもある。
電車や列車が走る経路や駅を記した地図。電車の乗り換え駅を調べるのに利用する。
地図上に天候や気温、風速、気圧の変化等を文字や記号を用いて示した図。天気予報に使用される。
住宅やビルなど地図上の建物がすべて載っている地図。住人の名前や道路の広さまで載っているので、運送業や防災用に使われる。
防災と地図
防災計画を立てる際に活用できる地図に、『ハザードマップ』があります。
ハザードマップとは、地震や津波、洪水や土砂崩れなどの自然災害が起きた際の被害範囲や程度、また避難場所や避難経路等が記載された地図で『防災マップ/被害予測図/被害想定図/リスクマップ』などとも呼
ばれます。
今後起きる被害を予測することで、避難計画を立てる際に利用できます。
他にも現在住んでいる場所の過去の地図を調べることで、その地がかつて湿地や湖沼ではなかったか、弱い地盤の土地ではないか等を調べることもできます。
さまざまな地図を活用することで、より万全な災害への備えができることでしょう。