阿波学会研究紀要


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郷土研究発表会紀要第37号
松茂町の鳥類

鳥類班  増谷正幸(文責)

1.はじめに
 板野郡松茂町は徳島県の北東部に位置する。面積約13.4平方キロメートル、人口約11,000人(昭和60年)。10の大字(長岸、中喜来、広島、笹木野、住吉、満穂、豊中、豊岡、長原、豊久)から成る。全域が吉野川河口部の沖積平野上に立地し、北部を旧吉野川が、南端を今切川が紀伊水道にそそいでいる。北は鳴門市、西は板野郡北島町に接し、南は今切川をはさんで徳島市川内町に面している。本町域の開発が本格化したのは藩政期になってからで、各地で新田開発が行われた。昭和13(1938)年から海軍航空隊用地として約400ha(4平方キロメートル)が買収された。戦後、松茂開拓農協に払い下げられ農地に復したが、昭和33(1958)年またもや海上自衛隊第3航空群基地として約 103ha が買収された。現在は民間との共用空港となっている。最近、海岸部へせり出して滑走路の延長が行われ、海岸線が南北に分断された。

 湿田ではレンコンが、砂地畑ではサツマイモが多く栽培されている。防風・防潮林として植えられたクロマツが現在も各地に残っているが、マツ枯れで所々抜けている。国道11号線のバイパスが町の西部を南北に貫き、宅地造成・工業団地造成が活発に行われ、ヨシ原や池沼が埋め立てられ、農地が減少し、河川や用水はどんどんコンクリート護岸になるなど都市化が進み、自然環境の変貌が著しい。
 鳥類班は松茂町の野生鳥類の現況を調査した。野生鳥類は、季節・環境により種類・個体数が変動し、年によって渡来状況が違うので、出来れば3年程度継続した調査が必要である。しかし、調査期間は1年間だけであるので、1990年2月〜1991年1月に現地調査を実施した。

2.調査目的・方法と調査地区
 徳島県の北東部、鳴門市大津町・大麻町、板野郡松茂町、板野町、徳島市川内町の低湿地には、レンコンを栽培するハス田が拡がっている。ここは、シギ・チドリ類の渡りの中継地と越冬地となっている。彼らは、北極圏、アラスカ、アリューシャン、カムチャッカ、シベリアなどの夏の繁殖地と、南方の越冬地の間を移動する際、春と秋に日本列島を通過する。この時、ハス田のような湿田が本来の生息環境に似ているためか、採餌や休息に利用している。松茂町では、中喜来と笹木野、豊中、豊岡にハス田がまとまって存在するので、範囲を設定したカウント調査を行った。ライン・センサス調査も併せて行った。
 月見ケ丘海岸、旧吉野川、今切川、大谷川や、その他の用水、小川、各地に残存するヨシ原、池沼、湿地の調査も可能な限り実施した。

3.調査結果
(1)ハス田地帯
 ハス田地帯に渡来するシギ・チドリ類は、大きさはスズメ大からハトより少し大きい位まで。嘴と足も短いのから長いのまで様々である。嘴は上や下へ反ったものもある。餌は動物質が多く、陸生・水生昆虫とその幼虫、甲殻類、貝類、ミミズ、カエル、オタマジャクシ、小魚などである。嘴や足が長めのシギは、水の張られたハス田に入って嘴を水中の泥の中へ突っ込んで採餌し、チドリや小型のシギは、湿った泥の上を歩いて地上の餌を探すなど、それぞれ体の特徴に応じて採餌行動も違っている。中喜来と、笹木野、豊中、豊岡のハス田地帯でカウント調査を行った。調査範囲は図1に示す通りである。
1 中喜来のハス田地帯
 字北境、境、北張、大張、中張、小張を調査範囲とし、歩行調査により全鳥類を対象としてカウント調査を行った。面積約28万4000平方メートル(約28.4ha)。ハス田が多いが、サツマイモ畑、ナシ園もある。人家は北境にある。用水が何本も走っている。調査結果は表1に示す。

 シギ・チドリについて見ると、4月と9月に多い。代表種はコチドリ、タカブシギ、タシギである。タシギはタゲリと共に越冬するものも多い。7月30日にはまったく見られなかった。これは、この時期が渡りの季節から外れていることの他、前日にハスの褐斑病防除として農薬の空中散布が行われたこととも関係があるかもしれない。また、彼らは一般に開けた湿田を好むので、ハスの葉がよく茂る夏期のハス田では、葉や茎が刈り取られ開けた田を選んで下りている。
 他の種類では、コサギ、ツバメ、ハクセキレイ、タヒバリ、ツグミ、スズメ、ハシボソガラスなどが主要構成種である。このうち、ハクセキレイ、タヒバリ、ツグミは冬鳥として渡来し越冬する。湿地状になったハス田の畔や休耕田ではバンが繁殖する。

2 笹木野、豊中、豊岡のハス田地帯
 笹木野字山東の東半分、豊中字豊年の南部と戎野、豊岡字芦田鶴の一部を調査範囲とし、歩行調査により全鳥類を対象としてカウント調査を行った。面積約28万6000平方メートル(約28.6ha)。ハス田の他サツマイモ畑も多く、クロマツ防風・防潮林、人家がある。用水が何本も走っている。コンクリート護岸されていない用水沿いと一部にある休耕田はヨシ群落になっている。調査結果は表2に示す。

 シギ・チドリは、中喜来同様4月と9月に多い。4月25日は種類、数とも非常に多かった。12月20日は本来なら越冬するであろう個体が見られるはずであるが、まったく記録されなかった。これは、水が張られて灌水したハス田がほとんど無く乾燥していたためではないかと思われる。中喜来では12月にも灌水したり湿ったハス田がかなり見られた。
 他の種類では、主要構成種は中喜来とほぼ同様であるが、コヨシキリ、オオヨシキリ、オオジュリンが記録され、バンの確認頻度が高かった。これは、当地の方がヨシ原が多く、ハス田とクロマツ林の間がヤブ、草地、湿地状になっている所があるなど、これらの鳥類の生活に必要な環境が良く揃っているためであると考えられる。

(2)ライン・センサス調査
 豊岡字小金洲(こがねず)の用水に架かる橋を起点とし、芦田鶴、三宝荒神社、豊年を経て、山東と戎野の境のクロマツ林沿いに南下し、芦田鶴との境界までを調査コースとした。全長約2km。時速2km 程度で歩行し、半径 25m 以内で確認された鳥の種類と個体数をすべて記録した。農耕地帯で、ほとんどがハス田とサツマイモ畑で砂地である。用水が多いが、ほとんどコンクリート護岸である。コンクリート護岸でない用水に沿ってヨシ群落が伸びている。人家が幾つかある。三宝荒神社の北には休耕田状の湿地がありヨシ、ガマが密生している。クロマツ防風・防潮林がある。林床はマサキ、トベラなどが茂っていたり、草地、ヤブ状になっている。このコースは、先に見た笹木野、豊中、豊岡のカウント調査範囲と重複している。カウント調査は、調査対象地域内に生息する鳥類をすべて記録するのを目標としている。比較的大型の種類は把握し易いが、小鳥類は見落としが生じる可能性がある。ライン・センサスは、対象地域から幅 50m の細長い定線を代表させて調査し、それを基に対象地域の鳥類相を類推する。大型種は記録されにくいが、小鳥類の見落としは最小限に防げる。本来は、繁殖期のテリトリー面積や密度を調べるための方法である。調査コースは図1に図示し、調査結果は全長1km あたりに換算して表3に示した。

 記録された種類は、例えば前年度調査地・土成町の農耕地と比べると、かなり多種多様である。反面個体数は少ない。特定の数種類のみで生息数の大部分を占める傾向が少ないということでもある。当地の環境が、ハス田、ヨシ原、自然状態に近い岸のある用水、クロマツ林などかなり多様であるためであろう。ハス田には、春・秋はシギ・チドリ類、冬期はハクセキレイ、タヒバリ、ツグミが生息し、ヨシ原では、オオヨシキリが夏鳥として渡来繁殖し、コヨシキリが旅鳥として立寄り、ツリスガラ、オオジュリンが冬鳥として渡来する。小川、湿地などの水系にはバンやサギ類が生息する。サギ類は、クロマツ林を休息やねぐらに利用している。しかし、サツマイモ畑のように裸地が多く植被が単調な畑地では鳥類は非常に少なく、キジバト、ヒバリなどがポツポツ見られたに過ぎない。また、ハス田でも、シギ・チドリが好んで訪れる田と、逆にまったく見られない田とがあり、好対照であった。個体数が少ないのはそれらのことが影響しているのではないかと思われる。人家周辺ではスズメが多く見られた。

(3)月見ケ丘海岸(カウント調査)
 徳島空港滑走路から北側の月見ケ丘海岸を調査した。防潮堤から海岸線までを調査範囲とし、確認された鳥類の種類と個体数をすべて記録した。海岸線の延長約1km。砂浜で、防潮堤付近は丈の短い草が生える。南部は海水浴場になっている。調査結果は表4に示す。

 生息する鳥類は単調であった。砂浜にまばらに生える草地という環境は、一般の鳥類にとってすみづらい環境であろう。ただ、5月1日と9月10日にチュウシャクシギが記録されたのが注目される。本種は本来は干潟性で、徳島県では吉野川河口干潟に春と秋の渡りの季節に多く生息している。干潟が満潮時に狭まった時や、何らかの理由で干潟にいることが出来なくなった時の一時的な避難所として利用しているのではないかと思われる。
 5月1日には、草陰や砂丘の下で休息しているのが見られた。ノビタキも貴重である。徳島県では旅鳥として春と秋に原野状の草地や湿地で見られるが数は少ない。

(4)旧吉野川
 旧吉野川は、松茂町部分はほぼ全域コンクリート護岸となり、鳥類の生息には余り適していない。しかし、河口部と、広島橋下流左岸で興味深い結果が得られた。
1 河口部(カウント調査)
 鳴門市大津町との境界から河口部までを調査し、堤防から河川側へ鳴門市との境界周辺までで確認された鳥類の種類と個体数をすべて記録した。結果は表5に示す通りである。

 冬期、特に狩猟期間(11月15日〜2月15日)が終了してから、ヒドリガモ、オカヨシガモなどのカモ類が多く記録された。干潮時、岸辺のブロックや岩積みの磯が陸化した時に、それらに付着した海苔を食べに集まっていた。こめ事実は重要である。カモ類(特にヒドリガモ)は、養殖海苔を食い荒らすとして海苔養殖業者から嫌われ、しばしば有害鳥獣駆除の対象にされている。しかし、自然状態で生える水草や海草があれば、それらを本来は餌としていたのである。ところが、河川改修・特殊改良工事、災害復旧事業などによる画一的なコンクリート護岸化により自然が失われ餌が無くなれば、止むを得ず養殖海苔を食害するようになるのは自然の成り行きと言える。野生生物の立場と自然との共存をまったく考慮しない、コンクリートで固める一辺倒の工法を改め、自然を残すような工夫をし、さらにそこを出来るだけ広く禁猟区にすることが、海苔食害を解決するための根本である。
 3月27日と5月1日には、シギ・チドリ類もかなり記録された。干潮時に陸化した磯状のところで見られた。キョウジョシギは、上に反った短い嘴で水際の色々なものをめくってみて、下に潜む小動物を捕食する。チュウシャクシギは、下に反った長い嘴でカニを捕食する。満潮時はまったくツルツルのコンクリート護岸になり生息は不可能である。
 6月13日、9月10日、10月23日にはほとんど見られなかった。干潮時に少しだけ磯が現われ、身を隠したり営巣場所となるようなものがなく、堤防で内陸部と遮断されたような環境は、鳥類の恒久的な生活場所にはなり得ない。
2 広島橋下流左岸
 広島橋の下流左岸、広島字北川向(かわむかい)二ノ越、四ノ越の岸に沿って細長くヨシ群落が形成されている。ここはカイツブリ、バン、ゴイサギ、オオヨシキリ、セッカなどが生息し、冬期はコガモ、ユリカモメ、ツリスガラなどが渡来する。特にツリスガラが注目される。本種はユーラシア大陸内陸部で繁殖し、中国南部、朝鮮半島南部などで越冬する。従来四国地方での記録はなかった。ところが1979年12月、愛媛県で記録され、1981年2月徳島県阿南市辰巳で記録された。その後、県東部の低平地で次々と冬鳥として記録されるようになった。群れで生活することが多く、ヨシの茎の鞘を嘴で剥いで中に潜む虫を食べる。その生活にはヨシ原の存在が不可欠である。豊岡字小金洲〜芦田鶴の用水に沿ったヨシ原でも見られた。現在、西日本では冬鳥として定着しつつあり、東日本方面へも分布が拡大しつつある。鳥類の渡り、移動、分散などを調べる上で学術上貴重である。しかし、それもヨシ原が広く残されていればの話である。松茂町内の旧吉野川で、ヨシ原がまとまって残されているのは今やここくらいになってしまっている。

(5)今切川
 今切川は全域コンクリート護岸であり、流域は工場が多く、水の汚染も進んでいる。体の曲がった魚が何匹か見られた。ただ、干潮になると、岸辺のブロック積みが水面上に現われる。これに付着した海苔を食べに冬期ヒドリガモ、オカヨシガモが集まって来ていた。他に、イソシギ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ジョウビタキ、イソヒヨドリなどが見られ、ユリカモメなどカモメ類も見られた。カイツブリは非繁殖期にのみ記録された。繁殖期に確認された鳥類はほとんど無かった。このような河川は、恒久的な生活場所となり得ず、一時的に止むを得ず利用される程度である。
(6)大谷川
 大谷川は左岸が鳴門市大津町、右岸が松茂町長岸、中喜来となっている。岸辺はほとんどコンクリート護岸であるが、一部にヨシ原や湿地があり、岸辺が草地やヤブになっている所がある。鳴門市側も含めて調査したところ、次の種類が確認された。カイツブリ、ゴイサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アオサギ、カルガモ、コガモ、バン、オオバン、コチドリ、アオアシシギ、イソシギ、タシギ、ユリカモメ、キジバト、カワセミ、ツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ツグミ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、メジロ、アオジ、オオジュリン、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス(以上35種)。オオバンは数少ない冬鳥として貴重である。流れのゆるやかな広い水域を好み、水草や小動物を餌とする。大代谷川との合流点付近で見られた。
(7)その他
 中喜来字稲本と群恵には養鰻場跡の池があり、用水に沿ってヨシ原もある。付近は砂地畑が多いが、ヨシ、ガマに覆われた休耕田、ゴルフ・ミニコースがある。ここで記録された水辺、湿地、原野性鳥類は、コガモ、チョウゲンボウ、バン、コチドリ、カワセミ、オオヨシキリ、セッカ、などであった。
 豊岡の南端部、長原漁港の後背地には、何本も用水が集まって広くなった水域がある。ここでは、カイツブリ、ゴイサギ、コサギ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、バン、イソシギ、ユリカモメ、カワセミ、コヨシキリ、オオヨシキリ、ツリスガラなどが記録された。

 なお、徳島空港内の草地に鳥が多数集まって、飛行機が離発着する時の支障になることが数年前に問題になったことがある。その時の議論では、空港周辺が“湿地”になっていてそこで鳥が多数“繁殖”し、それが滑走路付近に出没する、などと言われていた。しかし、これには注意が必要である。現在、松茂町ではハス田を除けば湿地は非常に少なくなっている。しかし乾いた草地は、砂地畑、工場・住宅用などの造成地、そして空港敷地内に広く存在する。湿地性の鳥類は、乾性草地にはほとんど生息出来ない。サギのうちアマサギは乾性草地にもよくいるが、本町では確認されなかった。乾性草地に多く集まるのは、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、キジバト、トビ、ヒバリなどで、彼らは群れる性質がある。しかも彼らは適応力が強く、開発が進んでもしぶとく生き残っている。すなわち、経済や産業が“発展”すればするほど、かえって鳥害が増える基盤が拡がる、と言うことである。周囲の“湿地”を埋めてしまえ、などと言う議論は本末転倒と言わざるを得ない。最近では、コサギなどは湿地が極端に減ってしまったためのやむを得ない自衛手段としてか、乾いた畑で採餌する姿が目立つようになっている。

4.まとめと提言
(1)ハス田地帯
 松茂町のハス田地帯は、シギ・チドリ類の渡りの時の中継地、休息地、採餌場や越冬地として重要であることが明らかになった。今回の調査では28種類が記録された。その一覧を表6に掲げる。

全長とは嘴の先から尾羽の先までの長さ、嘴峰(しほう)とは嘴のつけ根から先までの長さ、■蹠(ふしよ)とは腿の先から足指のつけ根までの長さを言う。おもな繁殖地は、参考文献1)、2)を参考にしつつ日本列島に渡来する個体と関係があると思われる地域を記述した。シギ・チドリの中には、ヨーロッパ、北アメリカも含めた北半球の高緯度地方に広く繁殖域をもつ種類も多いからである。
 沖積地の本来の自然は、河川の流れと微高地、後背湿地、砂洲と潟湖、干潟、頻繁に変わる河道と河跡湖などから形成され、流れのよどんだ所にはヨシ原や湿性草地が形成される。シギ・チドリやその他の様々な水辺・湿地・原野性の野生生物が、それぞれの生活に適した環境を利用したり、自由に移動したりしながら暮らしていたと思われる。しかし近世以来開発が進み、特に明治維新以降現在まで続いている、自然を敵視し、自然と共存しつつ利用するのを忘れた国造りにより、そのような自然はほとんど失われてしまった。沖積地の自然は不安定で、各種の遷移が見られ学術上も貴重な所であるが、人間の産業活動の優先・安定指向のため環境が固定され、見ることが出来なくなってしまった。わずかに残された湿地も、埋め立て、かさ上げ、排水などの乾燥化により消滅しようとしている。このような社会情勢にあって、ハス田地帯の湿田や湿地は、シギ・チドリなど各種の鳥類や他の野生動物にとって貴重な生息地である。それらが分断され、宅地・工場・道路の中に埋没したように孤立するのではなく、広くまとまって保護される必要がある。農業、産業政策の面からも真剣に取り組んでいただきたい。
(2)その他
 旧吉野川や今切川の河口部は、岸辺のブロックや岩積みの磯が干潮時に陸化し、そこに付着する海苔を食べにカモ類が集まる。海苔や水草が自然に生育するような自然を残し、復元させることが、カモによる養殖海苔の食害を防ぐことにもつながるのである。
 旧吉野川・広島橋下流左岸(広島字北川向二ノ越、四ノ越)に沿って形成された細長いヨシ原は、本町内の旧吉野川では他に見ることが出来ないもので貴重である。
 現在、町内に残存するコンクリート護岸されていない自然に近い岸辺のある小川、用水、池沼やヨシ原は、水辺・湿地性鳥類や他の野生動物にとって大切な生活場所となっている。それらがこれ以上失われてしまわないように、また、失われた自然を回復するような適切な施策が講じられるようになることを望みたい。
 シギ・チドリ・カモ類など多くの渡り鳥は、何千年もの間、北極圏やシベリアの繁殖地と南方の越冬地の間を、毎年毎年地球的規模で渡り、移動を繰り返して来た。彼らの生存には、繁殖地と越冬地だけでなく、困難の多い長い旅の途中に立ち寄る中継地の自然が残されていることが絶対必要である。それが、日本においては高度経済成長期以降、最近30年の間に急速に危機にさらされるようになっている。地球的規模での環境破壊問題が叫ばれるようになって来た現在、松茂町の自然と産業をどうするのかという取り組みも、そのような問題とは決して無関係ではないと言える。本稿が、松茂町当局と一般町民の方々がこのような問題に関心を持ち、地元の身近な自然と歴史に目を向けていただくための一助となることを願い報告を終わる。

[調査参加・協力者氏名] 寒川芳彦、柴折史昭、曽良寛武、新居正利、塗本香、埴淵謙一、増谷正幸、村田澄代、村田練平、八巻吉子、吉田和人(五十音順)
5.松茂町鳥類目録
 1990年2月〜1991年1月の現地調査で記録された種名を掲げる。出来る限り具体的な観察記録(年月日、場所・地名・字名、地図メッシュ番号、個体数、環境、行動、記録者名)を入れた。本町は全域が低平地であるので海抜高度は省略した。字名の確認には参考文献5)を用いた。地図メッシュ番号は、2万5千分1地形図「板東」を縦、横それぞれ10等分し、さらに縦、横それぞれ2等分してできたメッシュ(a〜d)を単位として記録地を表わしている(図1参照)。なお、種名の後の◎印は松茂町での繁殖が確認されたか或いは確実なものを示し、○印は繁殖可能性があるものを示す。
   カイツブリ目 PODICIPEDIFORMES
 カイツブリ科 PODICIPITIDAE
1.カイツブリ Podiceps ruficollis ◎
 1990.7.27 大谷川 [A2d] 1巣・3ヒナ・1成鳥 給餌する〈曽良,増谷〉
 1990.7.30 中喜来字十人歩 [B2a] 1若鳥 大谷川後背地の水域〈増谷〉
 1990.8.13 旧吉野川(広島字北川向)[C2b] 2 ヨシ原でさえずり〈新居〉
 1990.12.11 中須入江川 [C2c] 2冬羽 堀状の水域〈増谷〉
   コウノトリ目 CICONIIFORMES
 サギ科 ARDElDAE
2.ゴイサギ Nycticorax nycticorax
 1990.5.10 旧吉野川[B2b,C3c] 2成鳥 河口堰の魚道にとまる〈増谷〉
3.ササゴイ Butorides striatus
 1990.9.7 豊中字豊年 [E4c] 2若鳥 ハス田中の電線にとまる〈増谷〉
4.ダイサギ Egretta alba
 1990.3.27 旧吉野川 [C5d] 1 岩場の汀で魚を捕える〈増谷〉
 1990.9.5 大谷川 [A2b] 1 岸辺のヨシの陰〈増谷〉
5.チュウサギ Egretta intermedia
 1990.5.29 豊中字豊年 [E4c] 2 ハス田から飛立ちクロマツ林へ〈増谷〉
 1990.9.22 中喜来字北かうや [B2d] 2 水を張ったハス田と畔〈増谷〉
6.コサギ Egretta garzetta
 1990.4.19 中喜来字中須 [C2c] 2 水を張った休耕田〈増谷〉
 1990.5.29 豊中字戎野 [E4d] 17 ハス田〈増谷〉
 1990.7.30 中喜来字江ノ上 [B2c] 5 泥田〈増谷〉
 1990.9.5 中喜来字北張・大張 [B2c] 3 葉の茂ったハス田〈増谷〉
 1990.9.7 笹木野字山南 [E3a] 7 水たまりのある泥状の田〈増谷〉
 1990.9.7 豊中字豊年〜豊岡字芦田鶴 [E4c] 13 クロマツ林〈増谷〉
 1990.9.22 中喜来字中張 [B2c] 6 刈り取った後のハス田〈増谷〉
 1990.10.19 豊岡字芦田鶴 [E4c] 3 茎の茂ったハス田〈増谷〉
 1990.12.11 中喜来字十人歩 [B2a] 2 大谷川後背地の湿地〈増谷〉
7.アオサギ Ardea cinerea
 1990.7.27 大谷川 [A2d] 1 泳ぐ〈曽良,増谷〉
 1990.12.11 旧吉野川 [B2b] 1 河口堰左岸の魚道にとまる〈増谷〉
   ガンカモ目 ANSERIFORMES
 ガンカモ科 ANATIDAE
8.カルガモ Anas poecilorhyncha ◎
 1990.5.1 豊岡字芦田鶴 [E4c] 2 ハス田とクロマツ林の境のヨシ群落などの草地〈増谷〉
 1990.10.23 豊岡字小金洲〜芦田鶴 [F4c] 16 幅の広い水域〈増谷〉
9.コガモ Anas crecca
 1990.4.2 中喜来字群恵 [C2b〜C3d] 14 幅の広い用水〈増谷〉
 1990.10.23 豊岡字小金洲〜芦田鶴 [F4c] 120+ 幅の広い水域〈増谷〉
 1991.1.10 中喜来字群恵 [C3c] 70± 養鰻場跡の池〈増谷〉
 1991.1.10 旧吉野川(広島字北川向)[C2b] 106+ ヨシ原で休む〈増谷〉
10.ヨシガモ Anas falcata
 1990.3.27 旧吉野川[B4b] 2♂・1♀ 岸辺の岩についた海苔を食す〈増谷〉
11.オカヨシガモ Anas strepera
 1990.3.27 旧吉野川 [B4b] 17 岸辺の岩についた海苔を食す〈増谷〉
 1991.1.10 今切川[E3bc] 7 岸のブロックについた海苔を食す〈増谷〉
12.ヒドリガモ Anas penelope
 1990.2.28 旧吉野川河口 [C5d] 400± 岸やブロックについた海苔を食す
 1990.3.27 旧吉野川 [B4b] 105+ 岸辺の岩についた海苔を食す〈増谷〉
 1991.1.10 今切川[E3bc] 86 岸のブロック積みについた海苔を食す〈増谷〉
13.ホシハジロ Aythya ferina
 l991.1.10 旧吉野川 [C4a] 1♂ 被弾している可能性あり〈増谷〉
   ワシタカ目 FALCONIFORMES
 ワシタカ科 ACCIPITRIDAE
14.ミサゴ Pandion haliaetus
 1990.10.23 旧吉野川 [B4bd] 1 飛翔〈増谷〉
15.トビ Milvus migrans ○
 ハヤブサ科 FALCONIDAE
16.チョウゲンボウ Falco tinnunculus
 1990.12.11 中喜来字稲本[C3ac] 1 飛んできてネットにとまる〈増谷〉
 1990.12.18 中喜来 1♀ 人家屋根のスズメを襲うが失敗〈柴折〉
   キジ目 GALLIFORMES
 キジ科 PHASIANIDAE
17.キジ Phasianus colchicus ◎
 1990.4.14 月見ケ丘海岸 1♂ 砂浜から草むらへ歩く〈村田〉
 1990.5.1 豊岡字豊岡開拓 [D4b] 1♂ 飛行場内の草地〈増谷〉
   ツル目 GRUIFORMES
 クイナ科 RALLIDAE
18.バン Gallinula chloropus ◎
 1990.2.28 大谷川 [B1a] 1 鳴き声〈増谷〉
 1990.4.2 中喜来字群恵 [C2b〜C3d] 3 幅の広い用水で枯れたホテイアオイをついばむ〈増谷〉
 1990.5.10 中喜来字群恵 [C3c] 1 休耕田のヨシ群落で鳴き声〈増谷〉
 1990.5.29 豊岡字小金洲〜芦田鶴 [F4c] 2+ 幅の広い水域〈増谷〉
 1990.6.13 豊岡字芦田鶴 [E4d] 1幼鳥・2成鳥 ヨシ原とハス田の境〈増谷〉
 1990.7.27 大谷川 [A2d] 2若鳥 岸辺の湿地〈曽良,増谷〉
 1990.7.30 中喜来字群恵 [C3c] 2+ 養鰻場跡の池の岸辺の湿地〈増谷〉
 1990.8.13 中喜来字北かうや [B2d] 5ヒナ・1成鳥 夕刻、葉の茂ったハス田から出て来る〈新居,増谷〉
 1990.9.7 豊中字戎野 [E4d] 3± 葉の茂ったハス田〈増谷〉
 1991.1.10 旧吉野川(広島字北川向)[C2b] 2 ヨシ原の水際〈増谷〉
19.オオバン Fulica atra
 1990.5.4 大谷川 [A2d] 1成鳥〈新居〉
   チドリ目 CHARADRIIFORMES
 チドリ科 CHARADRIIDAE
20.コチドリ Charadrius dubius ◎
 1990.3.27 中喜来字中張 [B2c] 6 水のある泥田で採餌〈増谷〉
 1990.4.19 中喜来字中瀬堤外 [B2b] 1 空き地に飛んで来る〈増谷〉
 1990.4.19 中喜来字十人歩 [B2a] 2 砂地畑に〈増谷〉
 1990.5.10 中喜来字群恵 [C3c] 3 造成地とサツマイモ畑で争う〈増谷〉
 1990.5.29 笹木野字山南 [E3b] 2 ハス田の畔〈増谷〉
 1990.6.13 豊久字豊久開拓 [C5d] 2 造成地(裸地と丈の短い草地)〈増谷〉
 1990.8.1 豊中字豊年 [E4c] 8若鳥 開けたハス田〈増谷〉
 1990.12. 11 中喜来字北かうや [B2d] 11 湿った泥田〈増谷〉
21.シロチドリ Charadrius alexandrinus ◎
 1990.3.27 中喜来字中張 [B2c] 4 水のある泥田で採餌〈増谷〉
 1990.5.1 豊久開拓 [C5d] 1ヒナ・1成鳥 草のまばらな砂地〈増谷〉
22.ムナグロ Pluvialis dominica
 l990.4.10 豊岡字芦田鶴[E4d] 3 夏冬中間・1冬羽 掘り返した泥田〈増谷〉
 1990.4.25 笹木野字山東 [E4d] 20 水の少ないハス田〈増谷〉
 1990.4.25 豊中字豊年 [E4c] 9 ハス田の畔〈増谷〉
23.ケリ Microsarcops cinereus
 1990.3.17 中喜来 1若鳥〈埴淵〉
24.タゲリ Vanellus vanellus
 1990.3.27 中喜来字南張 [B2d] 1 ハス田で採餌〈増谷〉
 1990.12.11 中喜来字境 [A2d〜B2c] 11 掘り返した泥田で休む〈増谷〉
 1990.12.11 中喜来字中張 [B2ac] 3 ハス田の間の丈の短い草地〈増谷〉
 1990.12.11 中喜来字北かうや [B2d] 2 水を張ったハス田〈増谷〉
 シギ科 SCOLOPACIDAE
25.キョウジョシギ Arenaria interpres
 1990.5.1 旧吉野川河口 [C5ab] 2 岩積みの磯〈増谷〉
26.トウネン Calidris ruficollis
 1990.4.25 笹木野字山東 [E3a] 20 ハス田〈増谷〉
 1990.9.22 中喜来字中かうや [B1b〜B2d] 14 刈った後のハス田と畔
27.ヒバリシギ Calidris subminuta
 1990.9.5 中喜来字中張 [B2c] 3 刈って開けたハス田〈増谷〉
 1990.12.11 中喜来字北かうや [B2d] 1 湿った泥田〈増谷〉
28.オジロトウネン Calidris temminckii
 1990.2.4 中喜来 30± ハス田〈塗本〉
 1990.3.27 中喜来字中張 [B2c] 3 水のある泥田で採餌〈増谷〉
 1990.4.2 中喜来字北張 [B2c] 3 水のあるハス田で採餌〈増谷〉
 1990.12.11 中喜来字北かうや [B2d] 6 湿った泥田〈増谷〉
29.アメリカウズラシギ Calidris melanotos
 1990.5.1〜4 中喜来字北境 [A2d] 1 ハス田〈寒川,吉田〉
30.ウズラシギ Calidris acuminata
 1990.4.19 中喜来字北張 [B2c] 2 水のあるハス田〈増谷〉
 1990.4.25 笹木野字山東 [E3a〜E4c] 4 ハス田〈増谷〉
 1990.5.10 中喜来字中張 [B2c] 3 ハス田の畔の草むらで休む〈増谷〉
31.ハマシギ Calidris alpina
 1990.3.27 旧吉野川 [B4b] 9 岸辺の岩積み〈増谷〉
 1990.4.25 笹木野字山東 [E3a〜E4c] 88 水を張ったハス田に嘴を突っ込みながら活発に動き回る〈増谷〉
32.エリマキシギ Philomachus pugnax
 1990.5.4 笹木野字山下 [E3a] 1♀夏羽 ハス田で採餌〈寒川〉
33.キリアイ Limicola falcinellus
 1990.9.7 笹木野字山東 [E4d] 1 水たまりの拡がる開けたハス田〈増谷〉
34.ツルシギ Tringa erythropus
 1990.9.22 中喜来字北張 [B2c] 1 刈って水の張られたハス田〈増谷〉
 1990.10.19 笹木野字山南 [E3b] 1 水を張ったハス田〈増谷〉
35.アカアシシギ Tringa totanus
 1990.9.5〜6 笹木野字山南 [E3b] 1夏羽 ハス田〈塗本〉
36.コアオアシシギ Tringa stagnatilis
 1990.9.22 中喜来字境 [B2c] 2 刈って水の張られたハス田〈増谷〉
37.アオアシシギ Tringa nebularia
 1990.5.29 笹木野字山南 [E3b] 1 ハス田〈増谷〉
 1990.7.27 中喜来字北張 [B2c] 1夏羽 葉の茂ったハス田の中の開けた泥田(鳴門市大津町のハス田へも飛んで行く)〈曽良,増谷〉
 1990.8.13 中喜来字北かうや [B2d] 1 開けたハス田〈新居,増谷〉
 1990.10.19 笹木野字山東 [E3a] 4 水を張ったハス田に嘴から頭まで水につけてしきりに歩き回る〈増谷〉
38.タカブシギ Tringa glareola
 ハス田で、春と秋に最も普通に見られるシギである。夏と冬にも少数見られる。
 1990.7.27 中喜来字北張 [B2c] 11 葉の茂ったハス田の中の開けた泥田水たまりを歩いたり泥の盛り上がりの上で休んだりする〈曽良,増谷〉
 1990.7.30 中喜来字江ノ上 [B2cd] 3 葉の茂ったハス田と開けたハス田の間の日陰で休む〈増谷〉
 1990.12.11 中喜来字境 [B2c] 3 水のあるハス田〈増谷〉
39.キアシシギ Tringa brevipes
 1990.5.1 旧吉野川河口 [C5ab] 1 岩積みの磯〈増谷〉
 1990.5.4 中喜来 3 ハス田〈新居〉
40.イソシギ Tringa hypoleucos ○
 1990.8.1 笹木野字山東 [E3a〜E4c] 1若鳥 用水の岸辺〈増谷〉
41.ソリハシシギ Xenus cinereus
 1990.4.25 笹木野字山南 [E3b] 2 水を張ったハス田〈増谷〉
 1990.9.5 中喜来字北かうや [B1b〜B2d] 2 刈った後また生えてきているハス田〈増谷〉
42.オグロシギ Limosa limosa
 干潟性であるが、ハス田に現われることもある。1990.9.22に記録された〈塗本〉
43.チュウシャクシギ Numenius phaeopus
 1990.5.1 旧吉野川 [B4d] 1 岩積みの岸辺〈増谷〉
 1990.5.1 旧吉野川河口 [C5ab] 8 岩積みの磯〈増谷〉
 1990.5.1 月見ケ丘海岸 [C5bd〜D5c] 19 砂浜の草地の陰で休む〈増谷〉
 1990.9.10 月見ケ丘海岸 [C5bd〜D5c] 3 波打ち際を歩く〈増谷〉
44.タシギ Gallinago gallinago
 ハス田で、春と秋の渡りの季節と越冬期に、最も普通に見られるシギである。
45.オオジシギ Gallinago hardwickii
 1990.4.3 中喜来 1 水を張られたハス田に嘴を突っ辺んで採餌する〈曽良〉
 (チョウジシギ Gallinago megala の可能性もある)
 ヒレアシシギ科 PHALAROPODIDAE
46.アカエリヒレアシシギ Phalaropus lobatus
 1990.4.25 笹木野字山東 [E4d] 1 水を張ったハス田で羽づくろい〈増谷〉
 カモメ科 LARIDAE
47.ユリカモメ Larus ridibundus
 1990.2.28 中喜来字北境 [A2d] 12 水を張ったハス田に下りる〈増谷〉
 1990.2.28 旧吉野川 [B3d] 46 大谷川との合流点に浮かぶ〈増谷〉
 1990.4.10 長原漁港(豊岡字芦田鶴) [F4d] 240± 突堤にとまる〈増谷〉
48.セグロカモメ Larus argentatus
49.カモメ Larus canus
50.ウミネコ Larus crassirostris
51.コアジサシ Sterna albifrons
 1990.5.1 大手海岸 [E4a] 3 沖合を飛び、時々海中に飛び込む〈増谷〉
   ハト目 COLUMBIFORMES
 ハト科 COLUMBIDAE
52.キジバト Streptopelia orientalis ◎
   アマツバメ目 APODIFORMES
 アマツバメ科 APODIDAE
53.アマツバメ Apus pacificus
   ブッポウソウ目 CORACIIFORMES
 カワセミ科 ALCEDINIDAE
54.カワセミ Alcedo atthis ○
 1990.3.27 長岸字堀口 [B1c] 3 大谷川と旧吉野川をつなぐ水路状の水域
 (鳴門市大麻町牛屋島字水門脇との境)岸辺の木立ちの茂みでしきりに鳴合う〈増谷〉
 1991.1.10 中喜来字福有開拓 [B3b] 1 用水の岸にとまる〈増谷〉
   キツツキ目 PICIFORMES
 キツツキ科 PICIDAE
55.アリスイ Jynx torquilla
 1990.4.19 中喜来字蔵野[B2b] 1 空地に立てた朽ちた材木を探る〈増谷〉
   スズメ目 PASSERIFORMES
 ヒバリ科 ALAUDIDAE
56.ヒバリ Alauda arvensis ◎
 ツバメ科 HIRUNDINIDAE
57.ツバメ Hirundo rustica ◎
58.コシアカツバメ Hirundo daurica ○
 セキレイ科 MOTACILLIDAE
59.キセキレイ Motacilla cinerea ○
60.ハクセキレイ Motacilla alba
61.セグロセキレイ Motacilla grandis ◎
 1990.5.10 中喜来字南渕〜江ノ上[B2c] 2幼鳥・1成鳥 ハス田〈増谷〉
62.タヒバリ Anthus spinoletta
 ヒヨドリ科 PYCNONOTIDAE
63.ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis ○
 1990.3.27 中喜来字北境 [A2d] 10+ 捨て積んだサツマイモに集まる〈増谷〉
 1990.7.27 豊岡字豊岡開拓 [D4b] 1 大手海岸沿いのクロマツ林〈曽良〉
 モズ科 LANIIDAE
64.モズ Lanius bucephalus ◎
 1990.5.1 豊岡字豊岡開拓[D4b] 1♀・1♂・2+幼鳥 クロマツ林〈増谷〉
 ヒタキ科 MUSCICAPIDAE
 (ツグミ亜科 TURDINAE)
65.ジョウビタキ Phoenicurus auroreus
66.ノビタキ Saxicola torquata
 1990.5.1 月見ケ丘海岸 [C5bd] 1♀型 アメリカセンダングサや小マツの先にとまる〈増谷〉
67.イソヒヨドリ Monticola solitarius
 1990.12.20 今切川(笹木野字八山開拓) [E3c] 1 堤防にとまる〈増谷〉
68.ツグミ Turdus naumanni
 1990.3.27 中喜来字北境 [A2d] 5+ 捨て積んだサツマイモに集まる〈増谷〉
(ウグイス亜科 SYLVIINAE)
69.ウグイス Cettia diphone
70.コヨシキリ Acrocephalus bistrigiceps
 1990.5.29 笹木野字山南 [E3b] 1 ヨシの茂みでさえずり声〈増谷〉
 1990.5.29 豊岡字芦田鶴〜小金洲 [E4d] 1 コンクリート護岸していない用水のヨシの茎にとまりさえずる〈増谷〉
 1990.5.29 豊岡字芦田鶴〜小金洲 [F4c] 1 幅の広い水域のヨシ原でさえずり声〈増谷〉
 1990.6.13 中喜来 1 ヨシ原でさえずり声〈柴折〉
71.オオヨシキリ Acrocephalus arundinaceus ◎
 1990.4.19 中喜来字中瀬中ノ越〜中瀬堤外 [B2a] 1 用水沿いのヨシの冬枯れの茎にとまりさえずる〈増谷〉
 1990.5.1 豊久字豊久開拓 [C5d] 1 クロマツ林マサキの茂み〈増谷〉
 1990.5.10 中喜来字稲本 [C3c] 2 ヨシ、ガマ群落でさえずり声〈増谷〉
 1990.5.10 中喜来字群恵 [C3c] 1 養鰻場跡の池畔の広葉樹から南の休耕田状ヨシ原へ移りさえずる〈増谷〉
 1990.5.10 旧吉野川 [B3d] 1 ヨシ原でさえずり声〈増谷〉
 1990.5.10 中喜来字十人歩 [B2a] 2 大谷川沿いのヨシ群落 ヨシの前年の穂先でさえずる〈増谷〉
 1990.5.29 笹木野字八上 [D2b] 1 細長いヨシ群落でさえずり声〈増谷〉
 1990.5.29 笹木野字山下 [D3d] 1 春日神社横のヨシ原でさえずり声〈増谷〉
 1990.5.29 豊岡字芦田鶴〜小金洲 [F4c] 2 幅の広い水域のヨシ原〈増谷〉
 1990.5.29 豊岡字芦田鶴〜小金洲 [E4d] 4 コンクリート護岸していない用水に沿ったヨシ群落とヤナギでさえずる〈増谷〉
 1990.6.13 豊岡字芦田鶴 [E4c] 1 ハス田の畔のヨシの茂みで〈増谷〉
 1990.6.13 笹木野字山南 [E3b〜F3a] 1 ヨシ原とクロマツ木立ち〈増谷〉
 1990.8.1 豊岡字芦田鶴 [E4c] 2+ 三宝荒神社北のヨシ原 うち1羽、何かをくわえて電線にとまったり、ヨシ原や茂ったハス田の上をかすめて飛ぶ〈増谷〉
72.セッカ Cisticola juncidis ◎
 ツリスガラ科 REMIZIDAE
73.ツリスガラ Remiz pendulinus
 1990.4.10 豊岡字芦田鶴〜小金洲 [E4d] 22± コンクリート護岸していない用水に沿った細長いヨシ群落を移動して行く〈増谷〉
 1991.1.10 旧吉野川(広島字北川向)[C2b] 18+ ヨシ原〈増谷〉
 メジロ科 ZOSTEROPIDAE
74.メジロ Zosterops japonica
 1990.2.28 中喜来字なだ〜北渕 [B1a] 2 大谷川沿いの茂み〈増谷〉
 1991.1.10 豊岡字芦田鶴 [E3b] 4 人家の庭木〈増谷〉
 ホオジロ科 EMBERIZIDAE
75.ホオジロ Emberiza cioides ◎
76.ホオアカ Emberiza fucata
 1990.4.10 豊中字豊年 [E4c] 1 用水のヨシの茂み〈増谷〉
77.カシラダカ Emberiza rustica
 1990.3.27 中喜来字前原東六〜七番越[C2ab] 3 用水岸辺の草ヤブ〈増谷〉
78.アオジ Emberiza spodocephala
79.オオジュリン Emberiza schoeniclus
 1990.4.2 中喜来字中瀬中ノ越〜中瀬堤外 [B2a] 3 用水のヨシの茎を嘴でついばんで破る〈増谷〉
 1990.4.10 豊岡字芦田鶴〜小金洲 [E4d] 3 コンクリート護岸していない用水のヨシ群落でヨシの茎を嘴で剥がす〈増谷〉
 1990.12.20 豊岡字芦田鶴 [E4c] 6± 三宝荒神社北の休耕田状のヨシ原で、アオジ2+、ウグイス2+と共に〈増谷〉
 アトリ科 FRINGILLIDAE
80.カワラヒワ Carduelis sinica ◎
81.イカル Eophona personata
 1990.3.27 中喜来字中須 [C2c] 1 庭園の木立ちでさえずり声〈増谷〉
 ハタオリドリ科 PLOCEIDAE
82.スズメ Passer montanus ◎
 ムクドリ科 STURNIDAE
83.ムクドリ Sturnus cineraceus ◎
 1990.8.13 中喜来字北境 [A2d] 540+ 夕刻、大谷川沿いの電線にとまる〈新居,増谷〉
 1990.9.5 中喜来字中かうや [B1b] 11 梨園に集まる〈増谷〉
 1990.12.20 豊中字戎野 [E4d] 80± 枯れた茎の茂ったハス田〈増谷〉
 カラス科 CORVIDAE
84.ミヤマガラス Corvus frugilegus
 1990.12.12 中喜来 200+ サツマイモ畑に群れる〈柴折〉
85.ハシボソガラス Corvus corone ○
86.ハシブトガラス Corvus macrorhynchos ○
 1990.10.23 旧吉野川河口 [C5a] 1 潮溜りでウナギの死体をつつく〈増谷〉
 (野生化種)
87.ドバト カワラバト(Columba livia)を家禽化したものが国内に持ち込まれ野生化したもの ◎

参考文献
1)高野伸二 1981 日本産鳥類図鑑 東海大学出版会
2)高野伸二,門奈伸幸他 1982 フィールドガイド 日本の野鳥 日本野鳥の会
3)増谷正幸 1990 土成町の鳥類 総合学術調査報告「土成町」 郷土研究発表会紀要 第36号 阿波学会・徳島県立図書館 p.61〜81
4)竹内理三,三好昭一郎他編 1986 日本地名大辞典 36「徳島県」 角川書店
5)鳴門市・板野郡住宅地図 1988 セイコー社


徳島県立図書館