阿波学会研究紀要


このページでは、阿波学会研究紀要論文をご覧いただけます。
 なお、電子化にともない、原文の表記の一部を変更しています。

郷土研究発表会紀要第30号
鴨島町の読書調査

読書調査班  猪井達雄・横山昭

〈はしがき〉
 今年は、阿波学会総合学術調査の紀要として、第30号となるふしめであるが、鴨島町教育委員会・中学校・御父兄生徒各位の御協力により、読書に関する世論調査も、おかげにより結果を得ることができた。厚く御礼申しあげる次第である。
 特に当町は、県立図書館の移動図書館車、配本車等による活動に、積極的な御協力をいただき、その成果は県下市町村の範であるということを、つねづね承っているので、楽しみにデーター分析を行った。
 

 〈調査表の結果〉
 中学生1,095名を対象として調査表を配布していただいた。うち760枚を回収し、およそ70%(正確には69.4%)の高い回収率で、喜ばしいことである。
 調査区は、鴨島東中学校区と鴨島第一中学校区の二つに分けた。全体の数を百分比でみて行きたい。
 1.地域の就学状況
 子弟の中の就学中、または卒業者について調べたが、つぎのとおりである。


 2.情報(知識)を得る手段
 活字媒体と電気媒体にわけて、情報や知識が、どれによっているか1 2 3 というように記入していただいたが、
 1 2 3 を合わせたもの計
 新聞  35.2%
 テレビ 34.1%
 雑誌  14.9%
 ラジオ 12.6%
 書籍   3.2%
  計  100.0%
  1 のみの計
 新聞  55.5%
 テレビ 37.7%
 ラジオ 3.5%
 雑誌  2.1%
 書籍  1.2%
 計  100.0%
電気媒体と活字媒体がおよそ50対50であるが、新聞が大きいウエイトを占めていることが分かる。
 3.県立図書館の利用状況
 県立図書館の利用体験は35%の住民であり、その利用状況はつぎのようになる。
  図書の借用    15.7%
  巡回図書の利用  8.2%
  図書の閲覧    5.9%
  参考奉仕(口頭) 1.5%
    〃 (電話) 0.4%
  読書会に参加   0.8%
  読書グループ所属 0.6%
  その他      1.9%
   計       35.0%
 4.最近の読書状況
 最近の3か月間に、本を読んでいるか、という調査であるが、次のとおり。
  雑誌    24.7%
  週刊誌   24.1%
  書籍    22.4%
  読んでない 28.8%
   計   100.0%
 以上のようになり、比較的、手軽いものを読んでいる。70%の住民が、何かを手にしていることになる。
 5.読書の動機
 読書の動機については、それぞれ、
  書店・駅の売店  27.5%
  新聞広告     17.3%
  新聞雑誌の書評  15.5%
  人にすすめられて 6.9%
  テレビを見て   6.3%
  雑誌広告     5.6%
  図書館・公民館  3.2%
  ポスター     2.7%
  寄贈       2.5%
  ダイレクトメール 2.3%
  ラジオ      2.2%
  映画       2.0%
  カタログ     2.0%
  その他      4.0%
   計       100.0%
 以上の結果が出ている。一応、書店・売店で手にとって確かめてから、というのが、他に比して随分多いようである。
 6.読書の目的
  娯楽のため     24.8%
  趣味のため     24.2%
  教養のため     14.5%
  こどもの教育のため 12.1%
  職業上の必要から  11.8%
  なんとなく     11.5%
  その他       1.1%
   計       100.0%
 であり、およそ50%の人が、目的に功利性がなく、楽しみに読書をしている、ということができる。
 7.読書する本を入手する方法
  自分で買う     63.9%
  友人から借りる   14.3%
  家にある      5.6%
  図書館・公民館   5.5%
  学校から借りる   3.1%
  職場文庫から借用  2.6%
  貸し本屋から借りる 2.0%
  移動図書館車を利用 1.8%
  その他       1.2%
   計       100.0%
 8.図書館の蔵書充実の希望
 15項目に分けて、希望(要求)を追跡してみたが、10%以上のものは、
  文学関係   15.0%
  歴史地理関係 12.8%
  スポーツ娯楽関係 12.4%
  健康保健関係   10.0%
 等となる。その他各項目に散らばって希望がみられる。希望が多様化しており、技術革新の社会性に即応しているとも考えられる。図書館では、各方面にわたって充実を計っている。
 9.余暇の利用
  ラジオ・テレビ 40.5%
  読書      16.5%
  ごろ寝・休息  13.8%
  買物      13.7%
  スポーツ    7.6%
  日帰り旅行   2.2%
  一泊以上旅行  0.7%
  その他     5.0%
   計     100.0%
 以上となる。読書が第2位で、余暇利用が次第に多面的なひろがりを見せ始めていることが明らか。
 10.図書館等の建設・整備・充実について
 日常どのように考えているかを、全くアトランダムに記入していただいた。50件の記入が見られた。
  公民館整備 16%
  図書館建設 10%
  巡回図書  14%
  その他   60%
 の希望があった。その他60%のなかには、図書館が余りにも身近にないとか、広報関係が徹底していないとか、日曜・夜間の利用その他で、わからないというものなどであった。


 〈むすび〉
 図書館は、いつでも、どこでも、誰にでも利用できるという、身近な暮しに定着したものでなければならないことを、この結果からも痛感できた。鴨島町にも、ふさわしい図書館が必要ではないかと思う次第である。

 

     読書に関する世論調査表
(昭和58年8月1日現在)
調査区番号(  ) 調査区名(  ) 徳島県立図書館
〈お願い〉 県立図書館では、読書に関する世論調査を行なっています。この調査は、いろんな面から読書について調査し、その結果は、今後の図書館運営や公民館の読書活動の改善などに役立てるもので、個々の調査表記入事項については秘密を守り、統計上以外の目的に使用いたしませんので、どうか趣旨をご理解のうえ、つぎの問いにお答えを記入してください。
(世帯主がご不在の場合は世帯員の方が、また家族ご相談のうえ、記入くださっても結構です。)
問1.現在、あなたのご子弟で就学中の方がありますか。また、すでに卒業されている方がありましたら、該当の項目の数字を○でかこんでください。
 就学中(1.小学校 2.中学校 3.高校 4.高専 5.短大 6.大学)
 卒 業(7.中学校 8.高校 9.高専 10.短大 11.大学)


問2.人間は、社会生活を営むうえにいろいろ新しい情報(知識)が必要ですが、あなたは、その情報(知識)を得られる手段としてつぎのどれによっておられるか、該当のものの頭に○印をつけ、その○の中に、あなたが利用されている順に1.2.3.のように番号をいれてください。
 新聞   雑誌   書籍   テレビ   ラジオ


問3.県立図書館は、みなさんに情報(知識)を提供するセンターとしての役割りを果たしていますが、あなたまたはご家族のかたの利用状況について、該当のものの数字を○印でかこんでくたさい。
1.図書の閲覧 2.図書の利用 3.図書館へ電話で照会 4.図書館へ文書で照会 5.巡回図書(移動図書館車)の利用 6.読書会に参加 7.読書グループに所属 8.その他(  ) 9.利用したことがない


問4.あなたは、最近3か月間に本を読みましたか、該当の項目の数字を○印でかこみ、読んでいる方は書名等を下欄に記入してください。
 1.週刊誌
 2.雑誌
 3.書籍
 4.読んでいない


問5.あなたが本を読む動機となったのは、つぎのどれですか。該当の数字を○印でかこんでください。
 1.新聞の広告をみて
 2.雑誌の広告をみて
 3.新聞・雑誌の書評をみて
 4.書店・駅の売店などで実物をみて
 5.ポスターをみて
 6.ダイレクトメールで
 7.カタログをみて
 8.図書館・公民館・読書グループなどから
 9.テレビをみて
 10.ラジオをきいて
 11.映画をみて
 12.人にすすめられて
 13.寄贈されて
 14.その他


問6.あなたが本を読む場合、おもにどんな目的で読みますか。つぎの該当する項目の番号を○印でかこんでください。
 1.職業上の必要から
 2.趣味のため
 3.教養のため
 4.娯楽のため
 5.こどもの教育のため
 6.なんとなく
 7.その他(    )


問7あなたが読みたい本は、おもにどこから入手なされますか。該当する項目の番号を○印でかこんでください。
 1.自分で買う
 2.図書館・公民館で借る
 3.移動図書館車を利用する。
 4.学校から借る
 5.職場の文庫から借る
 6.友人から借る
 7.貸し本屋から借る
 8.家にある
 9.その他(    )


問8.図書館の蔵書を充実するうえにおいて、みなさんのご希望を参考にしたいと思いますので、あなたが興味をおもちの本、または購入希望の本がありましたら、つぎの該当する項目の番号を○印でかこんでください。
 1.哲学・倫理・宗教関係
 2.歴史・伝記・地理関係
 3.政治・経済・法律・社会関係
 4.教育関係
 5.自然科学(物理・化学・生物)関係
 6.保健衛生・健康関係
 7.工業・工学(土木・建築・機械・電気)関係
 8.家事・家庭・育児関係
 9.農林・水産関係
 10.商業・商店経営関係
 11.交通・通信関係
 12.音楽・演劇関係
 13.スポーツ・娯楽関係
 14.文学・古典・小説・詩歌関係
 15.郷土に関するもの


間9.あなたは、余暇をどう過ごしますか。
 1.読書
 2.ラジオ・テレビ
 3.ごろ寝・休息
 4.日帰り旅行
 5.1泊以上の旅行
 6.スポーツ
 7.買物
 8.その他


問10.あなたの町の図書館などの建設・整備・充実についてどうお考えですか。
 1.図書館を建設してもらいたい。
 2.公民館図書室を整備してもらいたい。
 3.県立図書館の巡回図書をふやしてもらいたい。
 4.その他(          )

     「読書に関する世論調査」実施要領
この調査は、阿波学会・徳島県立図書館が行う、総合学術調査のひとつとして行われるものです。
 〈調査対象〉 鴨島町全域の中学校在学生の世帯主を対象とする、
 〈調査期日〉 昭和58年8月1日現在。
 〈調査区〉 調査区番号( )調査区名( )は、次のようにする。
       調査区番号(1)調査区名(鴨島東中)
       調査区番号(2)調査区名(鴨島第一中)
 〈調査表の配布・回収〉
       町教育委員会→中学校→生徒(世帯主に記人お願い)→中学校→町教育委員会
      (注)1世帯に何人か在学の場合は、調査表1枚出していただくようお願いします。
 〈集計〉 徳島県立図書館で集計、総合学術調査発表会で発表し、紀要に掲載する。


徳島県立図書館