阿波学会研究紀要


このページでは、阿波学会研究紀要論文をご覧いただけます。
 なお、電子化にともない、原文の表記の一部を変更しています。

郷土研究発表会紀要第19号
脇町のシダ植物

加藤芳一

 雨量が少ない讃岐山脈の中心に位置する脇町には県内の他の地方に比べてシダ植物は種類数も、量的にも少ない。しかし乾燥しやすい陽光地にも生育できるコシダ、ウラジロは各所にたくさんみられる。
 山地の北に傾斜した斜面などの杉の植林地にはシダの生育しやすいところも小面積ではあるが、ところどころみられる。
 大滝山には特異な今布をする植物が多いが、頂上附近の北側の斜面の杉林の中にはミドリヒメワラビがあり、大変めずらしいものなので大切に保護したいものである。ここには、ハコネシケチシダ・ミヤマイタチシダなどの山地性のシダもみられるほか、ヤマイヌワラビとカラクサイヌワラビの雑種と考えられるヤマカライヌワラビや、ヒロハイヌワラビとカラクサイヌワラビの雑種と考えられるオオカラクサイヌワラビなどがあり、脇町では唯一のシダ生育環境ということができる。


徳島県立図書館