阿波学会研究紀要


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郷土研究発表会紀要第18号
松尾川流域の地衣類などについて

伊延敏行

 1)竜ケ岳とその沿線にはマツゲゴケ、Parmelia Shinanoana Zahlbe. ウチキクロボシゴケ、ウメノキゴケ、イワカラタチゴケ、ウツロヒゲゴケ、アカサルオガセ、ウラジロゲジゲジゴケ、アンチゴケ、Anaptychia isidiza Kurokawa. ハコネイボゴケ、ツメゴケ類が岩場や谷間にみられる。
 2)小祖谷の沿線にはマツゲゴケ、ウチキクロボシゴケ、ウメノキゴケ、ウラジロゲジゲジゴケ、ハコネイボゴケ、モミジツメゴケ、センジゴケ、ウチキクロボシゴケ、コフキカラタチゴケ、イワカラタチゴケ、キゴケ等がみられ、谷間や杉林にはヤマトイワノリ、Collema Cristatum (L) G.H. Ved. アオカワキノリ、コバノアオカワキノリ、センシゴケ、エツキセンスゴケ、ゲジゲジゴケ、ウラジロゲジゲジゴケ、ハコネイボゴケ等があり、日照りのよい山懐にはトゲシバリ、ウラジロゲジゲジゴケ、、ジョオゴゴケ、ヤリノホゴケ、ヒメレンゲゴケ類、アカミゴケ、ハナゴケ等が見られる。
 3)春ノ木ダムの周辺には Cladonia caespitiea (Pers.) Flk、ジョオゴゴケ、Cladonia formosana Asahina f. Watanabei Asahina、アカミゴケ等のハナゴケ類が見立って多く、烏帽子山に向う杉林や谷間にはウラジロゲジゲジゴケ、ゲジゲジゴケ等がアオカワキノリ、コバノアオカワキノリ等に混ってみられた。杉の切株にはアカミゴケ、ジョオゴゴケ等のハナゴケがよく発達している。中腹地帯の原始林より山頂にかけバンダイキノリ、ミヤマザクロゴケ、クロイボゴケ、ツヤナシエビラゴケ、コナカブトゴケ・チジレカブトゴケ、クロアカゴケ、クロアカゴケモドキ、ウラミゴケモドキ、カラタチゴケ、ニセキンブチゴケ、テリハヨロイゴケ、ヨコワサルオガセ、Usnea longissiha (L.) Ach f. Vulgata Asahina. Anaptychia dissecta kurokawa var.koyana kurokawa、セスジアンチゴケ、アンチゴケ、サボテンアンチゴケ等が樹皮や樹冠にはよく発達している。
 4)腕山は牧地に化したため樹木も少くなっているが所々に残された樹木には小型のアンチゴケ類やゲジゲジゴケ類やサルオガセ類やテリハヨロイゴケ、クロボシゴケ、クロアカゴケモドキ、チヂレカブトゴケ、バンダイキノリ等が見られ、牧地の所々にはトゲシバリ、ヤリノホゴケ、ヒメレゲゴケ類や Cladonia squamosa (scor.) Hoffm var. denticollis Flk. 等が見られる。
 5)深渕の社叢やその近辺にはアカサルオガセや Usnea rubescens stlrt var. rubrotincta (stlrt.) Motyra. トゲシバリ、ジョオゴゴケ、アカミゴケ類等が目立って多い。
 以上の五点を一般植物の部に付け加えて下さい。また一般植物には次の二・三度を付け加えて下されば目的に達成するかと思います。
 1 ヒエの野化、キミノコバノガマズミ、小祖谷の下、竜ケ岳の上の道端の間に見られる。2 オオネズミガヤ、小祖谷の旅館前の杉林。3 ミツモトソウ・春ノ木ダムの下、深渕にも見られます。(四国初発見かと思います)


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