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I 徳島市に分布する歩行虫
河野仁一郎（徳島東工業高校）
肉食甲虫の大部を含む歩行虫 Caraboidea について、過去昭和32年から昭和43年までに調査した結果、不完全とは思われるが、そのリストを発表させて頂きます。同定は大阪市の芝田太一氏にお世話になったものです。歩行虫は比較的移動性に乏しく、環境の変化に敏感であり、次第に発展する徳島市ではすでに滅亡寸前のものも多く、中には県内で徳島市のみしか知られていない貴重なものもあるが、次第に見られなくなった。特に法花谷が開墾された点、眉山が自動車道に荒された事や中津峯の中腹樹林の伐採や各地への「へり」による農薬散布、津田方面の住宅増加などはこの種歩行虫の生棲分布を狭くした原因だと考えられる。しかし僅かに残存する顕著な採集地区をあげれば下記の通りである。
１．大雨大水あとの津田勝浦川河口周辺
２．鮎喰川の上鮎喰流域から河口附近
３．城山・眉山の原始林
４．中津峯山の古木のある周辺
５．眉山・西部公園から地蔵院池方面
６．法花谷・延生軒及び園瀬川中流にかけて
なお、リスト中徳島市に分布するものとして、特異性のあるものにはその番号に *印を付しました。
１．Eustra plagiata japonica Bates
エグリゴミムシ 城山、新浜
２．Apotomopterus dehaanii Chaudoir
オオオサムシ 眉山、中津峯山
３．Apotomopterus japonicus Motschulsky
ヒメオサムシ 五滝、中津峯山
４．Apotomopterus yaconinus Bates
ヤコンオサムシ 眉山、竹林院
５．Nebria lewisi Bates
カワチマルクビゴミムシ 上鮎喰、入田
*６．Nebria pulcherrima Bates
フタモンマルクビゴミムシ 一の宮川原
*７．Nebria chinensis Bates
マルクビムシ 城山
８．Nebria livida angulata Banninger
キベリマルクビゴミムシ 地蔵院、津田、上鮎喰
９．Nebria macrogona Bates
オオマルクビゴミムシ 上鮎喰、入田
*10．Omophrom limbatum aequalis Morawitz
カワラゴミムシ 津田東北
11．Cicindelajapana. Motschulsky
ニワハンミョウ 五滝、中津峯
12．Cicindela lewisii Bates
ルイスハンミョウ 津田、中津峯
13．Cicindela trnsbaicalica Motschulsky
コニワハンミョウ 上鮎喰
14．Cicindela japonica Thunberg
ハンミョウ 西部公園、地蔵院、中津峯
15．Cicindela elisae Motschulsky
ヒメハンミョウ 中昭和町、沖洲
16．Cicindela specularis Chaudoir
コハンミョウ 不動川原
17．Cicindela yodo Nakane
ヨドシロヘリハンミョウ 新浜
18．Scarites aterrimus Morawitz
ヒョータンゴミムシ 津田海岸
19．Scarites terricola Bonelli
ナガヒョータンゴミムシ 中昭和町３
*20．Scarites sulcatus Olivier
オオヒョータンゴミムシ 津田海岸
７月から８月にかけ海岸松林の間に夜に活動しているのがよく見かけられる。
21．Clivina lewisi Andrewes
クロヒメヒョータンゴミムシ 津田
22．Clivina niponensis Bates
ヒメヒョータンゴミムシ 地蔵院池
23．Dyschirius batesi Andrewes
ムネアカチビヒョータンゴミムシ 中昭和町、上鮎喰
24．Dyschirius ovicollis putzeys
ダイミョウチビヒョータンゴミムシ 上鮎喰
25．Broscosoma d■nitzi Harold
ミヤマヒサゴゴミムシ 中津峯山
登山道が細くなり雨水で渓谷のように削られた赤土質の処に見られる。
26．Craspedonotus tibialis Schaum
オサムシモドキ 中昭和町、上鮎喰、津田
27．Perileptus japonicus Bates
ホソチビゴミムシ 延生軒、園瀬川
28．Perileptus morimotoi S. Ueno
ウミホソチビゴミムシ 勝浦川橋
*29．Epaphiopsis ishizuchiensis S. Ueno
イシズチチビゴミムシ 中津峯頂上
30．Trechus ephippiatus Bates
ヒラタキイロチビゴミムシ 城山
31．Trechoblemus postilenatus Bates
アトスズチビゴミムシ 中昭和町３
32．Lasiotrechus discus Fabricius
フタボシチビゴミムシ 津田海岸
33．Tachys microscopicus Bates
チビミズギワゴミムシ 津田町
34．Tachys fasciatus Motschulsky
クロオビコミズギワゴミムシ 中昭和町３
35．Tachys sericans Botes
ウスオビコミズギワゴミムシ 津田、上鮎喰
36．Tachys recurvicollis Andrewes
アトオビコミズギワゴミムシ 津田海岸
大水が出た海岸のゴミの中から稀に得られる。
37．Tachys fumigatus Motschulsky
クリイロコミズギワゴミムシ 大和町、眉山
38．Tachys exaratus Bates
ヒラタコミズギワゴミムシ 上鮎喰、八多宮井
39．Tachys fuscicauda Bates
ウスモンコミズギワゴミムシ 上鮎喰、眉山法谷寺
40．Tachys laetificus Bates
ヨツモンコシズギワゴミムシ 中昭和町
*41．Armatocillenus aestuarii S. Ueno et Habu
キバネキバナガゴミムシ 勝浦川橋
津田新浜の勝浦川橋の灯に集まっているのを多数発見したのがはじめてであった。
42．Armatocillenus yokohamae Bates
キバナガゴミムシ 今切、勝浦橋
43．Bembidion amaurum Bates
オオルリミズギワゴミムシ 上鮎喰
44．Bembidion amurense trajectum Netolitzky
キアシルリミズギワゴミムシ 入田
45．Bembidion chloreum Bates
アオミズギワゴミムシ 上鮎喰、眉山西麓
46．Bembidion cnemidotum
ウスイロミズギワゴミムシ 飯谷、一宮、西光寺橋
47．Bembidion consummatum Bates
アトキミズギワゴミムシ 一宮、上鮎喰
48．Bembidion morwitzi Csiki
ヨツボシミズギワゴミムシ 津田、園瀬、眉山
49．Bembidion Pseudolucillum Netolitzky
ヒラタアオミズギワゴミムシ 中津峯、五滝
50．Bembidion semilunius Netolitzky
ツマキミズギワゴミムシ 浜高房、上鮎喰
51．Bembidion eurygonum Bates
マルミズギワゴミムシ 上鮎喰、一宮
52．Bembidion lissonotum Bates
オオアオミズギワゴミムシ 中津峯山麓
53．Bembidion oxyglymma Bates
クロミズギワゴミムシ 入田、延生軒
54．Bembidion hiogoensisBates
ヒョウゴミズギワゴミムシ 西光寺橋、入田、飯谷
55．Bembidion aureofuscum Bates
カワグチミズギワゴミムシ 勝浦川橋、法花、論田
*56．Bembidion altaicum Gebler
オオヒラタミズギワゴミムシ 一の宮、上鮎喰
57．Bembidion lucillum Bates
ハコネミズギワゴミムシ 入田、飯田、上鮎喰
58．Bembidion pliculatum Bates
ヒメスジミズギワゴミムシ 上鮎喰、中津峯山
59．Bembidion stenoderum Bates
ドウイロミズギワゴミムシ 一の宮、上鮎喰
60．Asaphidion semilucidum Motschulsky
メダカチビカワゴミムシ 南昭和町、上鮎喰
61．Patrobus flavipes Motschulsky
キアシヌレチゴミムシ 津田、上鮎喰
62．Diplous caligatus Bates
カワチゴミムシ 上鮎喰、入田
63．Diplous depressus Gebler
ヒメカワチゴミムシ 入田
64．Perigona nigriceps Dejean
クロズホナシゴミムシ 津田山、城山
65．Caelostomus picipes Macleay
ムネミゾナガゴミムシ 眉山、津田山
66．Abacetus tanakai Straneo
ヨツボシツヤナガゴミムシ 中昭和町１
67．Trigonotoma lewisii Bates
ルイスナガゴミムシ 中津峯山
68．Lesticus magnus Motschulsky
オオゴミムシ 眉山、中昭和町、蔵本
69．Lagarus sulcitarsis Morawitz
アシミゾナガゴミムシ 津田、地蔵院
70．Pterostichus haptoderoides Tschitsch■rine
トックリナガゴミムシ 入田、上鮎喰、中昭和町
71．Pterostichus fortis Morawitz
オオナガゴミムシ 入田、上鮎喰
72．Ptrostichus leptis Bates
クロオオナガゴミムシ 上鮎喰
73．Ptrostichus latemarginatus Straneo
マルムネヒメナガゴミムシ 名東、中津峯、城山
74．Ptrostichus microcephalus Motshulsky
コガシラヒメナガゴミムシ 津田、園瀬、南昭和町
75．Synuchus agonus Tschitscherine
ニホンツヤヒラタゴミムシ 眉山、津田
76．Synuchus arcuaticollis Motschulsky
マルガタツヤヒラタゴミムシ 津田、城山
77．Synuchus dulcigradus Bates
ホソクビナガヒラタゴミムシ 中津峯山
78．Synuchus cycloderus Bates
クロツヤヒラタゴミムシ 中津峯山
79．Synuchus nitidus Motschlsky
トガリヒラタゴミムシ 眉山、城山
80．Synuchus callitheres Bates
クロチャヒラタゴミムシ 津田、上鮎喰
81．Calathus halensis Schaller
セアカヒラタゴミムシ 今切、眉山、入田、中昭和町
*82．Trephionus chuj■i Habu
ヤシマホソナガゴミムシ 眉山
眉山ドライブウェーの溝に堆積した土中から掘り出したもので、体色は赤褐色で薄色眼は退化して小さい。
83．Platynus magnus Bates
オオヒラタゴミムシ 津田、西部公園
84．Platynus protensus Morawitz
コヒラタゴミムシ 眉山
85．Agonum chalcomum Bates
アオブロヒラタゴミムシ 上鮎喰、津田、中昭和１
*86．Lorostemmaeo gurae Bates
オグラヒラタゴミムシ 名東地蔵院
87．Colpodes buchanani Hope
オオアオモリヒラタゴミムシ 眉山、入田
88．Colpodes japonicus Motschulsky
ハラアタモリヒラタゴミムシ 津田
89．Colpodes kyushensis Habu
チャイロホソモリヒラタゴミムシ 上鮎喰
90．Colpodes lampros Bates
コハラアカモリヒラタゴミムシ 津田山
91．Colpodes modestior Bates
イクビモリヒラタゴミムシ 中津峯山
92．Colpodes ehikoensis Habu
ヒコサンモリヒラタゴミムシ 五滝
93．Dicranoncus femoralis Chaudoir
ルリヒラタゴミムシ 延生軒、法花谷
94．Amara chalcites Dejean
マルガタゴミムシ 法花、中津峯、一宮、南昭和町
95．Amara chalcophaea Bates
コアオマルガタゴミムシ 津田、園瀬川、入田
96．Bradytus ampliatus Bates
キアシマルガタゴミムシ 法花谷、花房
97．Bradyus simplicidens Morawitz
コマルガタゴミムシ 園瀬、入田、中津峯
98．Curtonotus giganteus Motschulsky
オオマルガタゴミムシ 中昭和町１、津田
99．Curtonotus nitens Putzeys
ナガマルガタゴミムシ 眉山、上鮎喰、地蔵院、昭和町
100．Anisodactylus punctatipennis Morawitz
ホシボシゴミムシ 中津峯、眉山
101．Anisodactylus sadoensis Schauberger
オオホシボシゴミムシ 眉山
102．Anisodactylus signatus Panzer
ゴミムシ 鮎喰町、中昭和町、津田
103．Anisodactylus tricuspidatus Morawitz
ヒメゴミムシ 中津峯、西部公園
104．Platymetopus flavilabris Fabricius
アカガネゴモクムシ 津田新浜
105．Trichotichnus congruus Motschulsky
ヒメクロゴモクムシ 津田、中津峯山
106．Trichotichnus longitarsis Morawitz
クビアカツヤゴモクムシ 城山
*107．Trichotichnus noctuabundus Habu
ヒコサンツヤゴモクムシ 眉山
108．Trichotichnus argutoroides Bates
クビナガゴモクムシ 眉山、津田、城山
109．Trichotichnus orientalis Hope
クロイクビゴモクムシ 中津峯、上鮎喰、城山
110．Ophonus capito Morawitz
オオゴモクムシ 上鮎喰、中昭和町１、津田
111．Ophonus eous Tschitscherine
オオズケゴモクムシ 中昭和町３、津田
112．Ophonus griseus Panzer
ウスケゴモクムシ 中昭和町１、浜高房
113．Ophonus jureceki Jedlicka
ヒメケゴモクムシ 中昭和町１、浜高房
114．Ophonus ussuriensis Chaudoir
ケゴモクムシ 津田
115．Ophonus sinicus Hope
ウスアカゴモクムシ 中昭和３、津田、眉山、城山
116．Ophonus tridens Morawitz
コゴモクムシ 眉山、城山、中昭和町３
117．Ophonus tschiliensis gebieni Schauberger
キアシクロゴモクムシ 津田、眉山
118．Ophonus pseudophonoides Schauberger
ニセケゴモクムシ 法花谷、中津峯
119．Harpalus chalcentus Bates
ツヤアオゴモクムシ 名東、法谷寺境内
120．Harpalus discrepans Morawitz
ハコダテゴモクムシ 津田山、眉山、津田中浜
121．Harpalus tinctulus Bates
アカアシマルガタゴモクムシ 法花谷、中津峯、津田
122．Harpalus platynotus Bates
ヒラタゴモクムシ 上鮎喰、入田、津田
123．Stenolophus agonoides Bates
ナガツヤゴモクムシ 眉山、城山、五滝
124．Stenolophus iridicolor Redtenbacher
ニジツヤゴモクムシ 名東、津田
125．Stenolophus quinquepustulatum Wiedemann
イツホシツヤゴモク 中央通、眉山、城山
126．Anoplogenius cyanescens Hope
キベリゴモクムシ 法花谷、一宮、津田、大和町
127．Tricbocellus tenuimanus Bates
キベリチビゴモクムシ 中津峯、論田、上鮎喰、入田
128．Tachycellus anchomenoides Bates
ヒメゴモクムシ 眉山、花房、法花、津田
129．Tachycellus grandiceps Bates
オオズヒメゴモクムシ 園瀬、津田、中津峯
130．Tachycenus subditus Lewis
コヒメゴモクムシ 津田、法花谷
131．Trichocellus fimbriatus Bates
マルヒメゴモク 中津峯、法谷寺、上鮎喰
132．Tachycellus laeticolor Bates
アカクビヒメゴモクムシ 大谷、津田
133．Acupalpus inornatus Bates
チビキイロゴモクムシ 中昭和１
134．Diplocheila zeelandica Redtenbacher
オオスナハラゴミムシ 眉山
135．Baudia nigriceps Morawitz
クロズカタキバゴミムシ 津田海岸
136．Macrochlaenites costiger Chaudoir
スジアオゴミムシ 中津峯、眉山
*137．Epomis nigricans Wiedemann
オオキべツアオゴミムシ 眉山、入田
美しいゴミムシで大形（21mm内外）である。眉山のパゴダの灯によく集まるが、最近は少くなった。
138．Chlaenius cinumdatus Brull■
コキベリアオゴミムシ 名東地蔵院
139．Chlaenius micans Fabricius
オオアトボシアオゴミムシ 眉山、津田
140．Chlaenius naeviger Morawitz
アトボシアゴミムシ 眉山、入田、延生軒
141．Chlaenius posticalis Motschulsky
キボシアオゴミムシ 新浜、勝浦川橋
142．Chlaenius pallipes Gebler
アオゴミムシ 中昭和町１、鹿野、大和町
143．Chlaenius virgulifer Chaudoir
アトワアオゴミムシ 眉山、中津峯
144．Chlaenius inops Chandoir
ヒメキベリアオゴミムシ 津田、浜高房、大和町
145．Chlaenius naguchii Bates
ノグチアオゴミムシ 入田、一の宮
146．Chlaenius sericimicans Chaudoir
ムナビロアオゴミムシ 上八万、津田山路
147．Chlaenius tetragonoderus Chaudoir
ムナビロアトボシアオゴミムシ 眉山
148．Chlaenius vaiicomis Morawitz
コガシラアオゴミムシ 名東、眉山、上鮎喰
149．Callistoides deliciolus Bates
ヒトツメアオゴミムシ 眉山
*150．Oodes vicarius Bates
オオトックリゴミムシ 地蔵院
本県ではこの池以外ではまだ見つかっていない。相当多産する稀種である。
151．Lachnocrepis japonica Bates
ヤマトトックリゴミムシ 津田、渋野、名東
152．Lachnocrpis prolixa Bates
トックリゴミムシ 地蔵院、浜高房
153．Dischissus japonicus Andrewes
ニッポンヨツボシゴミムシ 五滝、西部公園
*154．Peronomerus nigrinus Bates
クロケブカゴミムシ 津田中浜
*155．Hexagonia insignis Bates
クロモンヒラナガゴミムシ 勝浦川橋
*156．Ophionea indica Thunberg
アオオビクビナガゴミムシ 津田
*157．Aephnidius adelioides Macleay
トゲアトキリゴミムシ 南昭和町、津田
本種は中後脛節の内端の棘が長く特異な種で四国でも新記録と思われる。平地の砂地にいる。
158．Lachnolebia cribricollis Morawitz
キクビアオアトキリゴミムシ 延生軒、眉山
159．Lebia calycophora comitata Bates
ヒメアトキリゴミムシ 法花谷、五滝
160．Lebia retrofasciata Motschulsky
ジュージアトキリゴミムシ 法花谷、眉山
161．Coptodera subapicalis Putzeys
ハギキノコゴミムシ 法花谷
162．Callid alepida Redtenbacher
キガシラアオアトキリゴミムシ 中津峯、延生軒
163．Callida onoha Bates
アオアトキリゴミムシ 法花谷
164．Parena monostigma Bates
ヒトツメアトキリゴミムシ 法花谷、一宮、眉山
165．Parena nigrolineata Chaudoir
クロヘリアトキリゴミムシ 地蔵院山
166．Endynomena lewisii Bates
メダカアトキリゴミムシ 法花谷
167．Apristus grandis Andrewes
スジミズアトキリゴミムシ 津田中浜、園瀬
168．Galeritella japonica Bates
クビボソゴミムシ 西部公園、眉山
169．Planetes puncticeps Andrewes
フタホシスジバネゴミムシ 津田山、眉山
*170．Drypta japnica Bates
アオヘリホソゴミムシ 津田海岸
171．Pheropsophus jessoensis Morawitz
ミイデラゴミムシ 中昭和３丁目
172．Brachinus scotomedes Redtenbacher
オオホソクビゴミムシ 眉山、中津峯
173．Brachinus stenoderus Bates
コホソクビゴミムシ 上鮎喰、入田
II 徳島市のハネカクシ及びアリヅカムシ科
吉田 正隆（徳島県農業大学校）
徳島市の昆虫相に関する過去の調査ならびに報告は蝶類を除きほとんど見られないようであるが、単に稀種を求める目的だけにとらわれて、市内の調査がなおざりにされてきたことはまことに残念なことといわねばならない。筆者はこの度徳島市の総合調査生物班の一員として参加する機会を与えられた。報文を記するにあたり、極めて広範囲にわたる昆虫相の全容を尽すことは至難の業であり、同時にそれが断片的で正確さを欠く報告になりがちであるために、今回は筆者が時に関心をよせているハネカクシ科、およびアリヅカムシ科甲虫についての報告をしておきたいと思う。但し、本調査にあてられた期間は夏季の僅か１週間にすぎずその期間において得られた結果だけでは十分でないので、筆者の過去における調査結果を加え、かつ徳島昆虫団体研究会々員諸氏の採集記録並びに標本を参考とさせていただきました。
Staphylinidae ハネカクシ科
ハネカクシ科甲虫は、鞘翅目の花形とされている大型のコガネムシやカミキリムシに比べて体長僅か数ミリのものがほとんどで、体色も一般に単調な暗色の甲虫で、研究者も少なく種名の明らかでないものが多くまだまだ研究の余地の残されたグループである。
１．Megarthrus japonicus Sharp
ハバビロハネカクシ 津田海岸
２．Megarthrus convexus Sharp
セマルハバビハネカクシ 城山
３．Megarthrus confomis K. Sawada
津田海岸
４．Olophrum arroi Sharp
アロウヨツメハネカクシ 眉山
５．Eudectus rufulus Sharp
シリブトヨツメハネカクシ 眉山、入田
6．Platystethus operosus Sharp
ノロヒメカワべハネカクシ 津田海岸
７．Bledius lucidus Sharp
名東町
８．Mimogonus microps Sharp
ヒメフトツツハネカクシ 津田海岸
９．Stenus alienus Sharp
ホソフタホシメダカハネカクシ 上鮎喰
10．Stenus macies Sharp
ドウボソメダカハネカクシ 中津峯
11．Stenus tenuipes Sharp
フタホシメダカハネカクシ 眉山
12．Stenus lewisius Sharp
眉山
13．Stenus anthracinus Sharp
スジグロメダカハネカクシ 眉山
14．Stenus cicindela Sharp
アシマダラメダカハネカクシ 上鮎喰
15．Stenaesthetus sunioides Sharp
ニセメダカハネカクシ 眉山
16．Pinophilus rufipennis Sharp
アカバクビブトハネカクシ 津田海岸
17．Oedichirus lewisius Sharp
クロバネアリガタハネカクシ 市原、入田
18．Paederus fuscipes Curtis
アオバアリガタハネカクシ 眉山、入田
徳島市内いたる所に見られ非常に多い種である。本種は衛生害虫の一つに数えられ入間の皮膚に本種の体液がつくと皮膚炎を起す。
19．Astenus bicolon Sharp
フタホシシリゲロハネカクシ 眉山
20．Astenus chloroticus Sharp
入田
21．Astenus brevipes Sharp
ヒメシリグロハネカクシ 津田海岸
22．Astenus suffusus Sharp
オオシリグロハネカクシ 眉山、入田
23．Stilicopsis setigera Sharp
タチゲクビボソハネカクシ 眉山、入田
24．Rugilus ceylanensis (Kraatz)
入田
25．Rugilus rufescens Sharp
クビボソハネカクシ 入田
26．Medon submaculatus Sharp
ヨコモントガリハネカクシ 津田海岸
27．Isocheilus staphylinoides (Kraatz)
ニセトガリハネカシ 入田
28．Lithocharis nigriceps Kraatz
クロズトガリハネカクシ 市原、入田
29．Scopaeus virilis Sharp
チビクビボソハネカクシ 眉山、津田
30．Scopaeus currax Sharp
津田海岸
31．Domene crassicornis Sharp
オオマルズハネカクシ 城山
32．Domene curtipennis Sharp
コマルズハネカクシ 眉山
33．Lathrobium pallipes Sharp
キアシナガハネカクシ 眉山、津田海岸
34．Lathrobium dignum Sharp
アカバナガハネカクシ 津田海岸
35．Lathrobium monticolla Sharp
津田海岸
36．Lathrobium kobense Sharp
アカバチビナガハネカクシ 津田海岸
37．Lobrathium regulare Sharp
津田海岸
38．Lobrathium unicolor Kraatz
不動町、津田海岸
39．Lobrathium nudum Shatp
ツマキバネナガハネカクシ 津田、沖洲
40．Othiellus medius Sharp
ウスアカバホソハネカクシ 眉山、津田
41．Neobisnius pumilus Sharp
アカバヒメホソハネカクシ 津田海岸
42．Ocihthephilum cuneatum (Sharp)
眉山、津田
43．Nudobius apicipennis Sharp
ツマキツヤナガハネカクシ 入田
44．Philonthus spadiceus Sharp
ヒラタコガシラハネカクシ 上鮎喰、津田
45．Philonthus aeneipennis Boheman
ドウガネコガシラハネカクシ 眉山、中津峯
46．Philonthus spinipes Sharp
オオアカバコガシラハネカクシ 名東町
47．Philonthus longicornis Stephens
ヒゲナガコガシラハネカクシ 五滝、沖洲、上鮎喰、北前川町
本種はその分布が広くほとんど全世界に拡がり、本県でも剣山山頂付近での採集例も少なくない。
48．Philonthus havelkai Dovorak
津田、沖洲海岸
49．Philonthus sericans Sharp
キヌコガシラハネカクシ 法花、上鮎喰
50．Cafius rufescens Sharp
アカウミベハネカクシ 津田海岸
51．Cafius vestitus Sharp
アバタウミベハネカクシ 津田海岸
52．Cafius nudus Sharp
津田海岸
53．Phucobius simulator Sharp
ウミベアバハネカクシ 津田海岸
前三種と同じく海浜性の種である。
54．Hesperus tiro Sharp
ツマグロアカバハネカクシ 入田
55．Platydracus circumcinctus Bernhauer
ドウガネハネカクシ 津田海岸
56．Ocypus brevicornis Weise
ヒメクロハネカクシ 上鮎喰
57．Staphylinus maxillosus Linne
オオハネカクシ 上鮎喰、名東町、沖洲海岸
沖洲海岸では漂着していた動物の死骸より60頭ほど採集したことがあり個体の大小差がはげしく大きいものでは24mmくらいになる。
58．Algon grandicollis Sharp
ムネビロハネカクシ 眉山、津田海岸
59．Velleius pectinatus Sharp
クシヒゲハネカクシ 眉山
60．Heterothops cognatus Sharp
チビツヤムネハネカクシ 眉山、名東町
61．Quedius japonicus Sharp
アカバツヤムネハネカクシ 眉山、上鮎喰
62．Quedius lewisius Sharp
ルイスツヤムネハネカクシ 上鮎喰
63．Quedius annectens Sharp
入田
64．Quedius juno Sharp
ヤマトオオメハネカクシ
65．Sepedophilus pumilus Sharp
ハスモンヒメキノコハネカクシ 入田
66．Sepedophilus armatus Sharp
城山
67．Sepedophilus germanus Sharp
城山、入田
68．Tachyporus suavis Sharp
ツヤブロシリホソハネカクシ 眉山
69．Tachyporus celatus Sharp
クロズシリホソハネカクシ 眉山、津田
70．Tachynus dimintus Sharp
コクロマルクビハネカクシ 眉山、津田
71．Tachyuus nigriceps Sharp
クロズマルクビハネカクシ 眉山、津田
72．Bracihida clara Weise
チビハバビロハネカクシ 津田、入田
73．Silusa lanuginosa Sharp
ヒゲブトチビハネカクシ 津田、上鮎喰
74．Halesthenus nakanei K. Sawada
ウミハネカクシ 津田海岸
本種を図鑑で調べてみると、その分布に興味を持つ人もあろうかと思う。事実筆者の採集した標本を本種の命名者である沢田高平氏に送ったところ本種に相異ないと同定され、その分布は九州南方のトカラ宝島なっている。筆者は台風後津田海岸に漂着したゴミの中や下より採集したのであるが、その数も数頭みられたことから迷蝶のように台風の作用で北上して来たものではなく本県海岸線の一部に棲息しているものと考えたい。本種は海岸の、潮の干満の差によってあらわれたり、沈んだりするような岩に棲み干潮の時には岩上にとりのこされた海藻や小さな生物を食べ満潮時には小さな岩の割れ目に入りその部分にたまった空気で呼吸をしているのではなかろうかといわれている。体長2.2mmという小さな種であり、内地での採集例が他にないので何ともいえないが、今後注意したい種である。
75．Falagria sapida Sharp
入田
76．Santhota sparsa Sharp
アカニセセミゾハネカクシ 入田
77．Fmplenota sulcata Weise
津田海岸
78．Aleochara trisulcata Weise
ホソセスジヒゲブトハネカクシ 津田、沖洲海岸
本種も海浜性ハネカクシである。
追加
79．Anomognathus armatus Sharp
キアシヒラタチビハネカクシ 城山
80．Astenus brevipes Sharp
ヒメシリグロハネカクシ 城山
81．Megarthrus crassicornis Sharp
チビハバビロハネカクシ 眉山、入田
アリヅカムシ科 Pselaphidae
アリヅカムシ科甲虫は非常に微小な虫である。大きな種でも体長3.5mmくらい。落葉腐植土中、朽木、樹皮下、アリの巣中そしてある種のものは洞くつ性とさまざまな棲息環境の内に特殊化したものが多い。前述のように微小な種であるためその採集および研究は容易でなく研究者も非常に少ない。まだまだわからない種があるが、今回は種名のはっきりしたもののみを報告する。
１．Petaloscaps basicornis Sharp
ヒゲブトムネトゲアリヅカムシ 入田
本種は他に高越山や美馬郡一宇村桑平で採集されている。入田町では比較的乾燥した刈草の束より採集できた。
２．Batrisoplisus antennatus Weise
フサヒゲアリヅカムシ 眉山、津田海岸
眉山では地蔵院のため池に流出してきた落葉中より採集できた。津田海岸においても洪水後の採集例なので流れついたものと考えられる。体長1.8mm。
３．Batriscenellus fragilis Sharp
ホソハラクボアリヅカムシ 津田海岸、眉山
４．Pysomerinus pedator Sharp
津田海岸
５．Triomicrus rimplex Sharp
津田、沖洲海岸
６．Trissemus diffinis Sharp
上鮎喰
筆者は本種を高越山で採集した事がある。上鮎喰のものは洪水後の採集例で愛媛大農学部生の酒井君により採集されたものである。
７．Trissemus curtus Sharp
津田海岸
Triomicrms simplex と共に洪水後の津田海岸において最も多くみられた種である。
８．Bryaxis frontalis Jeannel
入田
９．Rybaxis princeps Sharp
ダイコクアリヅカムシ 入田、津田海岸
アリヅカムシ科においては比較的大きく、乾燥した刈草束より採集された。
10．Poroderus medius Sharp
津田海岸
11．Porodefus simlis Sharp
津田海岸
12．Gonorsus breviceps Sharp
眉山
13．Lasinus spinosus Sharp
オオトゲアリヅカムシ 入田、津田海岸
近年沢田高平氏により発表された Lasinus monticola K. Sawada を含めて本属のものはわが国に２種が知られている。共にアリヅカムシ科においては最大種で、体長3.0mｍ〜3.6mm。本種は Lasinus monticola に比べて低山地性のものと思われる。本種♂の触角第８節下面は爪型の平らな艶のあるえぐりを持ち、その先は半円形になっている。徳島県においては上記の産地以外からの採集記録はない。
14．Diartiger fossulatus Sharp
コヤマトヒゲブトアリヅカムシ 眉山
本種は体長２mm内外で本邦には同属種を他に１種有するがいずれも好蟻性または客蟻性甲虫で翅の後角と腹部の基部側方に分泌液をもつ毛のかたまりがあり、それを蟻に甜めさせ、そのかわりに蟻の反吐したものをもらって生活していることが外国産のものにおいて知られている。また、時には蟻の幼虫や蛹を食べることも知られている。筆者は眉山において朽木につくられた蟻の巣（蟻の種名は不明）より採集することができた。また、以前上勝町において石の下の蟻の巣中より一度に数頭採集したこともある。
以上で徳島市内のハネカクシ及びアリヅカムシ科甲虫の報告を終わるが、まだまだ研究されていない所の多いグループなので種名のわからないものも多い。そのような種は今後機会があるたびに報告したいと思っている。
III 徳島公園城山の甲虫類
木内盛郷（徳島工業高校）
徳島市街のまん中に位置する城山は標高62米その周囲約１粁の小さな分離丘陵であるが、600年ほど前に細川氏がここに城を築いて以来、蜂須賀氏の居城ともなり、また明治に入ってからは徳島公園となり、昭和38年には徳島市の文化財に指定され保護されて来たために、この山をおおう森林は殆んど原生林のままの形で今日に至っている。今日、市の中心地にこのような原生林を残し、その保護育成をはかっていることは徳島市民の誇りの一つでもあり、観光や憩いの場としてだけでなく、自然観察の場としての教育環境、また種々の学術的研究の対象としても貴重な存在である。すでに木村、森本の両氏はその植物相を調査研究し、600余種の分類とその植生を明らかにした。しかし、ここに棲息する動物相に関しては従来殆んどかえりみられなかったようである。ますます発展と変ぼうの度を加えつつある市街地の中心に、離島のようにとり残された原生林という特殊な環境の中で、どのような種類の生物が、どのように生活しているかを調べておくことは意義あることであり、またそうした調査はできるだけ早い機会に行なわれることが要求される。こうした意味でその一分野である甲虫類の採集記録を、まだ充分ではないがこの機会に記しておきたいと思う。勿論今後も調査を続け之を補ってゆきたいと考えている。
之等標本中の数種については愛媛大学の久松定成、宮武睦夫両氏の同定をいただいた。ここに深く謝意を表したい。
尚、目録中学名、和名の次のローマ数字は標本の採集された月、アラビア数字は頭数をあらわしている。
１．Eustrajaponica Bates
エグリゴミムシ VII，XI９
ヒゲブトオサムシ科に属する特異な歩行虫で比較的少い種であるが、城山南斜面の落葉堆積下には可成り見ることができる。
２．Nebria chinensis Bates
マルクビゴミムシ X３
麓の石下等に見られる。
３．Trechus ephippiatus Bates
ヒラタキイロチビゴミムシ VIII８
一般にチビゴミムシの仲間は限らた狭い地域内で棲息し夫々に分化したものが多いが、本種は日本各地から中国にまで広く分布する普通種で、城山でも堆積落葉下に多い。
４．Asaphidion smilucidum Motsdchulsky
メダカチビカワゴミムシ XII１
樹皮下等に普通な種。
５．Amara chalcites DeJean
マルガタゴミムシ III２
6．Anisodactylus signatus Panzer
ゴミムシ VII１
7．Oxycentrus argutoroides Bates
クビナガゴモクムシ VIII１
8．Stenolophus iridicolor Redtenbacher
ニジツヤゴモクムシ VIII４
9．Stenolophusquinquepustulatus Wiedeman
イツホシツヤゴモクムシ VIII２
10．Trichocellus fimbriatus Bates
マルヒメゴモクムシ III１
上記のゴミムシ６種は何れも落葉下で得られた。
11．Guignotus japonicus Sharp
チビゲンゴロウ VII，VIII２
12．Erestes sticticus Linn■
ハイイロゲンゴロウ VIII１
13．Cercyon laminatus Sharp
ウスモンケシガムシ VII１
14．Pachysternum haemorrhoum Motschulsky
マグソガムシ VIII１
15．Sternolophus rufipes Fabricius
ヒメガムシ VIII２
上記の５種は何れも普通な水棲甲虫で、灯火に飛来したものである。
16．Saprinus speciosus Erichson
ルリエンマムシ X１
鳥獣の死体や糞に集まるが青藍色の美しい光沢がある。
17．Colenis strigosula Portevin
チヤイロヒメタマキノコ VII１
18．Agathidium cariniceps Hisamatsu
III３
四国松山が基産地として記載された種で、北斜面の落葉下で得られた。
19．Ptomascopus morio Kraatz
コクロシデムシ V１
食腐性の普通種。
20．Megarthrus convex Sharp
セマルハバビロハネカクシ III２
北斜面落葉下で得られた。
21．Astenus brevipes Sharp
ヒメシリグロハネカクシ VII１
22．Domene crassicornis Sharp
オオマルズハネカクシ V１
23．Sepedophilus armatus Sharp
クロゲヒメキノコハネカクシ VIII２
24．Sepedophilus germanus Sharp
III７
25．Anomognathus armatus Sharp
キアシヒラタチビハネカクシ I３
上記の５種は何れも樹皮下で得た。
26．Figulus binodulus Waterhouse
チビクワガタ III１
南斜面の枯れた桜から得た。
27．Onthophagus atripennis Waterhouse
コブマルエンマコガネ VIII３
北側の麓にしかけた腐肉採集で得た。
28．Aphodius sublimbatus Motschulsky
ウスイロマグソコガネ VIII１
獣糞等に集まる。
29．Maladera castanea Arrow
アカビロウドコガネ VIII１
30．Maladera japonica Motschulsky
ビロウドコガネ VIII１
31．Lachnosterna picea Waterhouse
クロコガネ V１
32．Popillia japonica Newman
マメコガネ VIII１豆、ブドウ類の害虫として著名
33．Allomyrina dichotoma Linn■
カブトムシ VIII１
34．Anomala rufocuprea Motschulsky
ヒメコガネ VIII１
35．Anomala cuprea Hope
ドウガネブイブイ VII１
36．Anomala daimiana Harold
サクラコガネ VIII１
37．Blitopertha orientalis Waterhouse
セマダラコガネ VII１
38．Protaetia orientalis Gory et Percheron
シロテンハナムグリ VIII１
39．Oxycetonia jucunda Faldermann
コアオハナムグリ Xl
カブトムシを除き（29）〜（39）は何れも農業害虫としてよく知られている。
40．Simplocaria maculosa Erichson
シラフチビマルトゲムシ X２
41．Chrysochroa fulgidissima Sch■nherr
タマムシ VIII３
幼虫の食樹となるサクラやエノキの衰弱木があり、８月頃はよく見かけられる。
42．Chalcophora japonica Gory
ウバタマムシ VIII１
43．Trachys inconspicua E. Saunders
ウメチビタマムシ VIII１
南麓に植えられた梅から得たが、梅や李の潜葉虫として害を与える。
44．Agrypnus binodulus Motschulsky
サビキコリ VIII１
樹液に来たものを得た。幼虫は農作物の害虫と云われる。
45．Ampedus hypogastricus Cand■ze
アカハラクロコメツキ V１
枯れた樹幹中より得た。
46．Ectamenogonus bicarinatus Cand■ze
チヤイロコメツキ VIII１
47．Melanotus Cand■ze
クシコメツキ V１
麦や豆類等を食害する。
48．Neotricbophorus linteatus Cand■ze
コヒゲナガコメツキ VIII１
49．Anthrenus verbasci Linn■
ヒメマルカツオブシムシ V１
毛織物や干物等食料品の害虫。
50．Orphinus quadrimaculatus (Matsumura et Yokoyama）
VIII６
本種は久松定成氏によって同定されたカツオブシムシで新属に編入されるかも知れないとの由であった。城山の日当りの良い樹上に居る。
51．Dermestes ater Degeer
トビカツオブシムシ V１
鰹節や干物等を食害する。
52．Nicobium castaneum Olivier
ケブカシバンムシ VIII１
枯材を害する。
53．Lasioderma serricorne Fabricius
タバコシバンムシ VIII１
焼草、乾燥植物質を食害する。
54．Xyletinus sp.
VIII４
本種も久松定成氏に見て頂いたシバンムシの一種で、西日本によく見かけられる種であるが日本では未記録のままになっているとのことである。
55．Laemophloeus sp.
チビヒラタムシの一種 I１
樹皮下に見られる。
56．Carpophilus marginellus Fabricius
クリイロデオキスイ IX１
57．Haptoncus ocularis Fairmaire
モンチビヒラタケシキスイ X２
果物の害虫として広く分布する種
58．Lasiodactylus pictus Mac Leay
アカマダラケシキスイ IX１
腐った果物や樹液に集まる。
59．Aspidophorus sp.
ヒメキノコムシの一種 IX，I７
マルヒメキノコムシ A. japonicus に類似の種で、粘菌につく。体長1.5ミリ前後の微小甲虫。古い衰弱木が多いせいか粘菌もよく見られるので採集しやすい。
60．Silvanus affinis Reitter
フタトゲホソヒラタムシ III１
枯木樹皮下に見られる。
61．Psammoecus triguttatus Reitter
ミツモンセマルヒラタムシ VIII２
枯枝から得られた。
62．Cryptophagus dentatus Herbst
ウスキキスイムシ III，V２
（63）（64）と共に朽木、樹皮下で得られる。
63．Cryptophagus callosipennis Grouvelle
ヨツモンキスイムシ III２
64．Atomaria lewisi Reitter
キイロセマルキスイムシ XII１
65．Emphistemus japonicus Reitter
マルガタキスイムシ V１
体長約１ミリの微小甲虫。旧北区系といわれるが、灯火に稀でなく飛来する。
66．Byturus affinis Reitter
キスイモドキ IIII３
春季、花上に普通。
67．Cryptophilus obliteratus Reitter
ヒラナガムクゲキスイムシ VIII１
樹皮下にいる。
68．Olibrus affinis var. consanguineus Flach
トビイロヒメハナムシ VIII１
本州以南に普通な２ミリ前後の微小種。幼虫は菊科植物を食すという。
69．Dacne picta Crotch
セモンホソオオキノコムシ VIII 多数
城山では各種の欄菌に沢山の本種が見られる。
70．Epilachna vigintioctopunctata Fabricius
ニジュウヤホシテントウ VIII１
ナス類の害虫として著名。
71．Scymnus patagiatus Lewis
セスジヒメテントウ VIII１
72．Telsimia nigra (Weise)
チビクロテントウ VIII４
73．Stethorus sp.
VIII５
上記の２種は宮武睦夫氏の同定による。
74．Sticholotis punctata Crotch
ムツボシテントウ I２
四国での採集例も少ない稀な種である。衰弱木の樹皮下より得たが、カイガラムシを捕食すると云う。
75．Hyperaspis japonica Crotch
フタホシテントウ VIII４
76．Chilocorus kuwanae Silbestri
ヒメアカボシテントウ VIII３
カイガラムシを捕食する。
77．Harmonia axyridis Pallas
テントウムシ IIII，VIII２
■虫を捕食する。
78．Eocaria muiri Timberlake
ムーアシロホシテントウ VIII１
本種は北海道から九州にまで分布するが四国での記録を知らない。
79．Propylaea quatuordecimpunctata Linn■
ヒメカメノコテントウ VIII２
カイガラムシを捕食する。
80．Ancylopus melanocephalus Olivier
ヨツボシテントウムシダマシ VIII１
刈草の下などに多く、広く分布する。
81．Arthrolips lewisi Matthewes
ナカグロミジンムシ VIII３
他に同属の一種が得られるが、共に樹皮下に居る。
82．Aphanocephalus hemisphericus Wollaston
クロミジンムシダマシ III１
83．Stephostethus chinensis Reitter
ヒメマキムシ III１
84．Corticaria ornata Reitter
クロオビヒメマキムシ III１
上記二種は堆積落葉下で得た。
85．Cis mikagensis Nobuchi et Wada
ミカゲツツキノコムシ I１
86．Microprius opacus Sharp
ツヤケシヒメホソカタムシ I，VII12
87．Cicones bitomoides Sharp
ヨコモンヒメヒラタホソカタムシ I１
88．Penthelispa vilis Sharp
ツヤナガヒラタホソカタムシ I，III３
上記三種のホソカタムシは何れも樹皮下に見られ特に（86）は個体数が多い。
89．Dicraeosis bacillus Marseul
クビカクシゴミムシダマシ III１
乾燥した落葉下で得た。
90．Gonocephalum coriaceum Motschulsky
コスナゴミムシダマシ IX１
91．Platydema marseuli Lewis
アオツヤキノコゴミムシダマシ VII１
92．Platydema subfascia Walker
ベニモンツヤキノコゴミムシダマシ I，IX10
多孔菌に多く見られる。
93．Lyprops cribrifrons Marseul
アラメヒゲブトゴミムシダマシ III１
落葉下に普通な種。
94．Allecula melanaria M■klin
クチキムシ I１
95．Allecula fuliginosa M■klin
オオクチキムシ I１
二種共朽木にいるが城山では少ない。
96．Formicomus braminus LaFert■-S■ne■tere
ホソクビアリモドキ III１
花にも来るが、この標本は落葉下で得た。
97．Phytobaenus sp.
ニセクビボソムシの一種 VIII２
マダラニセクビボソムシに似る。
98．Rhaphuma quinquefasciata Castelnau et Gory
ヨツスジトラカミキリ VIII６
99．Rhaphuma muscosa Bates
フタオビミドリトラカミキリ VIII１
上記二種共に海洋気候性のカミキリと云われ、内陸深くには分布せず沿岸地方に産することが多い。西斜面には前者の食樹ニセアカシアが昭和４年に植樹され、後者の食樹アカメガシワは南斜面にある。個体数では前者がずっと多い。
100．Paraglenea fortunei Saunders
ラミーカミキリ VII２
苧麻等の害虫として著名。
上記のほかに10年ほど前にヒゲナガカミキリやクスベニカミキリが採集されており、その後もウスバカミキリ、ナガゴマフカミキリ、ホシベニカミキリ、オオシロカミキリ、ホソキリンゴカミキリの記録がある。
101．Lema concinnipennis Baly
キバラルリクビボソハムシ VIII３
南麓のツユクサに多数発生する。
102．Basilepta fulvipes Motschulsky
アオバネサルハムシ VI１
果樹、ジャガイモ等各種の葉を食害する。
103．Aulacophora femoralis Motschulsky
ウリハムシ X１
104．Aulacophora nigripennis Motschulsky
クロウリハムシ VII１
共に瓜類の害虫。特にウリハムシは著名。
105．Altica cyanea Weber
カミナリハムシ VIII１
106．Argopus punctipennis Motschulsky
アカイロマルノミハムシ IX１
107．Cassida piperata Hope
ヒメカメノコハムシ IIII２
アカザ、イヌビユ等を食す。
108．Araecerus tarsalis Sharp
アカアシヒゲナガゾウムシ VIII，IX２
枯枝をたたいて得た。
109．Euparius oculatus Sharp
キノコヒゲナガゾウムシ VIII４
多孔菌のついた樹皮下で得た。
110．Callirhopalus obesus Roelofs
カキゾウムシ VIII２
柿の害虫。
111．Listroderes obliquus Klug
ヤサイゾウムシ X１
各種野菜類の大害虫。
112．PseudoporopterussimulatorRoelofs
ヒサゴクチカクシゾウムシ VI，XII２
113．Sitophilus oryzae Linn■
コクゾウムシ IX１
著名な貯穀害虫。
ここで主観的な感想が許されるならば、結局城山の甲虫相は暖地性の普通種を以て構成されていると云えよう。従ってここに特筆すべき種を挙げることは難かしいが、なかにはこの原生林に支えられて今日まで棲息を続けて来たと思われる珍らしい種もいくつかある。しかしその反面、全体の中で害虫が占める割合がかなり大きいというということは、市街地のまん中という位置的な、
つまり入為的な影響を非常に多く受けていると判断してよいと思う。今後こうした生物相がどのように変遷してゆくかは自然保護の立場からも注目すべき問題であろう。ただここで害虫を指摘したのは、その種が何らかの形で人間とのつながりを持つ生物であることを表わすのが目的であって、それを駆除すべきものという意味であげたのではない。彼等が異常に多発した時は人間生活に様々な影響を及ばすが、自然界の生態系の中で平衡を保っている状態では被害も軽微なばかりか、その地域の生物界を構成する要素として見たばあい、彼等はむしろ必要な生物とさえ考えられるからである。城山のようなすぐれた自然環境は、充分な配慮にもとづいて、保護・育成が行なわれることが望まれる。
尚この機会に城山を基産地として記載された真正蜘蛛の一種についてふれておきたい。1965年12月に南斜面の麓に放置されていた枯幹の樹皮下から一頭のダニグモが得られた。体長約1.5ミリ、暗褐色の光沢をもち、腹背がキチン板でおおわれた特異な種であるが、これと近似のケムリダニグモ Gamasomor-pha karsch がすでにその周辺の樹皮下で数多く得られていた。検鏡の結果、本種の雄の触肢がケムリダニグモと明らかに異り、又キチン板にも差異が見られたので小松敏宏氏に送ったところ新種と断定され、1967年にシャラクダニグモ Gamasomorpha syarakui として、Acta Arachnologica XX,2,PP.46〜47に記載された。徳島と蜂須賀家に因んで「写楽」なる種名がとられた。八木沼健夫氏の私信によれば、その後に京都、大阪、東京でも本種が確認されており、恐らく広く分布する種であろうとのことである。この蜘蛛に関して上記両氏に深く感謝申し上げる。
IV 徳島市のカミキリムシ科目録
和田賢次（県教育会）
１．Eurypoda batesi GAHAN べーツヒラタカミキリ
２．Megopis sica WHITE ウスバカミキリ
３．Prionus insularis MOTSCHULSKY ノコギリカミキリ
４．Prionus sejunctus HAYASHI ニセノコギリカミキリ
５．Distenia gracilis (BLESSIG) ホソカミキリ
６．Caraphia lepturoides (MATSUSHITA) ケブトハナカミキリ
７．Lemula decipiens BATES キバネニセハムシハナカミキリ
８．Acmaeops minuta (GEBLER) ヒナルリハナカミキリ
９．Pidonia puziloi (SOLSKY) フタオビチビハナカミキリ
10．Corymbia succedanea (LEWIS) アカハナカミキリ
11．Marthaleptura scotodes (BATES) ツヤケシハナカミキリ
12．Leptura ochraceofasciata (MOTSCHULSKY) ヨスジハナカミキリ
13．Leptura aethiops PODA クロハナカミキリ
14．Leptura arcua tatsumagurohana OHBAYASHI ツマグロハナカミキリ
15．Nakanea vicaria (BATES) フタスジハナカミキリ
16．Spondylis buprestoides (LINN■) クロカミキリ
17．Asemum amurense KRAATZ マルクビヒラタカミキリ
18．Arhopalus rusticus (LINN■) ムナクボカミキリ
19．Xystrocera globosa (OLIVIER) アオスジカミキリ
20．Mallambyx raddei (BLESSIG) ミヤマカミキリ
21．Pseudaeolesthes chrysothrix (BATES) キマダラヤマカミキリ
22．Stenygrinum quadrinotatum BATES ヨツボシカミキリ
23．Stenodryas clavigera BATES アメイロカミキリ
24．Ceresium sp．
25．Molorchus ishiharai OHBAYASHI カエデノヒゲナガコバネカミキリ
26．Pyrestes haematicus PASCOE クスベニカミキリ
27．Leontium viride THOMSON ミドリカミキリ
28．Palaeocallidium rufipenne (MOTSCHULSKY) ヒメスギカミキリ
29．Xylotrechus chinensis (CHEVROLAT) トラフカミキリ
30．Xylotrechus grayii (WHITE) ムネマダラトラカミキリ
31．Cyrtoclytus caproides (BATES) キスジトラ
32．Chlorophorus annularis (FABRICIUS) タケトラカミキリ
33．Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT) エグリトラカミキリ
34．Chlorophorus muscosus (BATES) フタオビミドリトラカミキリ
35．Chlorophorus diminutus (BATES) ヒメクロトラカミキリ
36．Chlorophorus quinquefasciatus (CASTELNAU et GORY) ヨツスジトラカミキリ
37．Demonax transilis BATES トゲヒゲトラカミキリ
38．Purpuricenus temmincki GUERIN-MENEVILLE ベニカミキリ
39．Purpuricenus spectabilis MOTSHULSKY ヘリグロベニカミキリ
40．Dere thoracica WHITE ホタルカミキリ
41．Mesosa myops japonica BATES ゴマフカミキリ
42．Mesosa longipennis BATES ナガゴマフカミキリ
43．Mesosa hirsuta BATES カタジロゴマフカミキリ
44．Mesosa mediofasciata BREUNING ヨツボシシロオビゴマフカミキリ
45．Apomecyna naevia BATES カノコサビカミキリ
46．Asaperda rufipes BATES キクスイモドキカミキリ
47．Atimura japonica BATES コブスジサビカミキリ
48．Sybra flavomaculata BREUNING キボシチビカミキリ
49．Aulaconotus pachypezoides THOMSON タテジマカミキリ
50．Pothyne silacea PASCOE シロスジドウボソカミキリ
51．Niphona furcata BATES ハイイロヤハズカミキリ
52．Pterolophia caudata (BATES) トガリシロオビサビカミキリ
53．Pterolophia augusta (BATES) マルモンサビカミキリ
54．Pterolophia zonata (BATES) アトジロサビカミキリ
55．Pterolophia rigida (BATES) アトモンサビカミキリ
56．Pterolophia annulata (CHEVROLAT) ワモンサビカミキリ
57．Pterolophia jugosa (BATES) ナカジロサビカミキリ
58．Mesosella simiola BATES クワサビカミキリ
59．Anoplophora malasiana (THOMSON) ゴマダラカミキリ
60．Eupromus ruber (DALMAN) ホシベニカミキリ
61．Mecynippus pubicornis BATES イタヤカミキリ
62．Uraecha bimaculata THOMSON ヤハズカミキリ
63．Monochamus alternatus HOPE マツノマダラカミキリ
64．Monochamus grandis WATERHOUSE ヒゲナガカミキリ
65．Monochamus saltuarius GEBLER カラフトヒゲナガカミキリ
66．Monochamus subfasciatus shikokensis BREUNING ヒメヒゲナガカミキリ
67．Acalolepta luxuriosa (BATES) センノカミキリ
68．Acalolepta fraudatorix (BATES) ビロウドカミキリ
69．Acalolepta sejuncta (BATES) ニセビロウドカミキリ
70．Batocera lineolata CHEVROLAT シロスジカミキリ
71．Apriona japonica THOMSON クワカミキリ
72．Rhodopina lewisii (BATES) セミスジコブヒゲカミキリ
73．Olenecamptus cretaceus BATES オオシロカミキリ
74．Olenecamptus formosanus PIC タカサゴシロカミキリ
75．Pogonocherus seminiveus BATES ネジロカミキリ
76．Acanthocinus griseus (FABRICIUS) ヒゲナガモモブトカミキリ
77．Exocentrus lineatus BATES アトモンマルケシカミキリ
78．Cagosima sanguinolenta THOMSON ハンノキカミキリ
79．Menesia flavotecta HEYDEN オニグルミノキモンカミキリ
80．Paraglenea fortunei SAUNDERS ラミーカミキリ
81．Eutetrapha ocelota BATES ヤツメカミキリ
82．Nupserha marginella (BATES) ヘリグロリンゴカミキリ
83．Oberea japonica (THUNBERG) リンゴカミキリ
84．Oberea inclusa infranigrescens BREUNING ホソキリンゴカミキリ
85．Oberea mixta Bates ニセリンゴカミキリ
86．Epiglenea comes BATES ヨツキボシカミキリ
87．Phytoecia rufiventris GAUTIER des OTTES キクスイカミキリ
88．Bacchisa fortunei japonica (GAHAN) |